PR

茂手木 昌洋 富士通 システムサポート本部ネットワークサポート統括部ネットワークシステムサポート部

スイッチ間のやり取りが遮断される

 次に,LANスイッチ上で,送受信フレームを検査したところ,ホット・スタンバイのやり取りに使うフレームがフィルタリングされていることが分かった。マルチキャスト・アプリケーションを利用していたA社はこの時点で,同社が導入したLANスイッチが持つ独自機能「IGMP スヌープ」が悪さをしている可能性があると考えた。A社のL3スイッチ同士は,ホット・スタンバイのための互いの状態通知のやり取りに,マルチキャスト用IPアドレスを使っていたからだ。

 IGMPは,マルチキャスト・ルーターとパソコンなどのマルチキャスト端末との間でやり取りされるプロトコル。ルーターが同じマルチキャスト・グループに属する端末を認識する際に使う。

 IGMPスヌープにはLANの帯域の利用効率を高める役割がある。ルーターと端末との間でやり取りされるIGMPメッセージを監視することで,マルチキャスト・グループとLANスイッチのポートの関係を把握。同一グループの端末がつながったポートにだけマルチキャスト・トラフィックが流れるように,その他のポートを遮断する。LANスイッチは通常,一つのポートから入ってきたマルチキャストのトラフィックを全ポートに送出してしまう。

 A社は,L3スイッチ同士のやり取りのマルチキャスト用IPアドレスとして「224.0.0.2」を使っていた。一方,マルチキャスト・アプリケーションでは,マルチキャスト用のIPアドレスとして「225.0.0.2」を使用していた。両者のIPアドレスやマルチキャスト・グループは異なる。たとえIGMPスヌープ機能を働かせても,ホット・スタンバイ用のポートには影響を及ぼさないはずである。L3スイッチは,マルチキャスト・ルーターとの間でIGMPメッセージをやり取りしない。