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北岡 一彦氏 NTTコミュニケーションズ ソリューション事業部ITビジネス推進部 AppMasterプロダクトマネージャー

大沼 守一氏 NTTコミュニケーションズ ソリューション事業部ITビジネス推進部 AppMasterコンサルタント

Webアクセスが業務用帯域を圧迫

 ブロードバンド回線を導入した二つの営業所は,社内サーバーのレスポンスやインターネット・アクセスが格段に速くなった。一方,他の営業所にも問題は生じなかった。

 ところが,月末を迎えると事態は一変。他の営業所から「受発注サーバーにつながらない」,「レスポンスが遅い」などのクレームが,次々に情報システム部に上がってくる。受発注サーバーを調べてみると,処理しきれないほどのアクセス集中が起こっていた。

 続けて東京支社-本社間の回線を調べた。本社ルーターのWANポートに対し,データ転送量カウンタを見るコマンドを実行すると,データ転送量が増大していることが分かった。

 さらに,東京支社側のルータ-を調査しようとしたが,Telnetアクセスが不安定になっていた。つまり,回線が混雑しているか,ルーターの負荷が増大していることが推察できた。

 A社の情報システム部は,ブロードバンド回線を導入した営業所からの受発注トラフィックが原因と判断。問題の営業所に電話で状況を尋ねたところ,「さっきまで受発注システムに大量データを投入していた。ただし,最初はレスポンスが良好だったが,最後の方は遅くなっていた」という。

 情報システム部門は,2営業所の作業が終わったため,事態は収拾すると思った。ところが,実際には他の営業所での受発注システムへのレスポンス悪化は改善されなかった。

 問題は別のところにあった。二つの営業所では,ブロードバンド回線の導入後にインターネットを長時間利用するユーザーが急増し,このトラフィックが東京支社-本社間の回線帯域を圧迫,他営業所での受発注システムのレスポンス低下を引き起こしたのだ。レスポンスが悪化した営業店がサーバーへのアクセスと中断を繰り返したため,サーバーも不安定な状態に陥った。

障害防止はネットの性能管理から

 そもそも,A社で起こった今回の障害は,情報システム部が普段からネットワークの性能管理をしていなかったことに起因する。事前にネットワークのトラフィック特性を把握していれば,今回の障害は予測・防止できたはずである。

 一般に,ブロードバンド回線の導入によって,ネットワーク性能に起因する様々な問題が解決できると思いがち。しかし,性能管理や帯域制御を併用しなければネットワーク全体の性能を維持することは難しい。

 A社は現在,ネットワーク性能を測定するアナライザを購入し,さらに帯域管理装置を導入してインターネット・トラフィック向けの回線帯域を絞り込むことを検討している。