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大沼 守一氏 NTTコミュニケーションズ ソリューション事業部ITビジネス推進部AppMasterコンサルタント

川崎 啓介氏 NTTコミュニケーションズ ソリューション事業部ITビジネス推進部AppMasterコンサルタント

図1 金融業のA社は融資審査用システムのレスポンスが低下したためトラフィックを計測
 クレームが出た融資審査部の拠点と審査システムがあるセンター拠点とは,384kビット/秒の専用線で接続。5分ごとにトラフィックを計測したところ,最も込んでいる時間帯でも256kビット/秒以下で問題がない。詳細な情報を得るため,トラフィック測定器を導入して1分間隔でアプリケーションごとのトラフィックを計測することにした。すると,FTPやNetBIOSのトラフィックが増えて,数分間にわたって回線速度を100%まで使用していることが明らかになった。

5分間隔の監視では問題を発見できず

 MRTGの結果を見たところ,トラフィックのピーク時でも384kビット/秒専用線の回線使用率は67%にとどまっていた(図1[拡大表示])。

 ネットワークには問題がないと判断した情報システム部は,この内容を融資審査部に伝えた。ところが,融資審査部では,確実にレスポンスが悪化しているという。もっときちんと管理してほしいと依頼されてしまった。

 そこで情報システム部は,システム・インテグレータ(SI)に相談を持ちかけた。SIからは,MRTGの情報を取得する間隔に問題があるのではないかと指摘を受けた。

 A社は,MRTGのデフォルトである5分間隔でトラフィック状況を集めていた。しかし,5分間隔ではネットワークの性能を把握できないというのだ。そこで,MRTGの設定を変更して,データ取得間隔を5分から1分にした。

 1分間隔の結果を見たところ,回線使用率が100%に達している時間帯があることが判明した。MRTGは情報を取得する間の平均トラフィックをグラフ表示する。このため,5分間隔では67%の回線使用率になっており,問題を見逃していたのである。

FTPが審査システムの応答に悪影響

 回線使用率を100%にしないためには,専用線の回線速度を上げる必要がある。しかし,どこまで高速化すればよいのか分からない。さらにトラフィックを詳細に分析して,原因を究明することにした。

 原因を突き止めるには,アプリケーションごとの特性を測定する必要がある。MRTGはトラフィックの全体量しか測定できないため,専用のトラフィック測定機を導入することにした。

 詳細情報を取得することによって管理用トラフィックが増加しないようにするため,データ蓄積機能や分析機能を内蔵する測定機を選択。早速,審査部を結ぶ384kビット/秒専用線につないで,トラフィックを監視した。

 結果を分析すると,FTPNetBIOSといったバースト性の高い通信が発生するたびに,審査システムのレスポンスが悪化することが分かった(図1)。FTPは別システムのバックアップ用に使っており,停止できない。審査システムとFTPなどを最適に共存させる必要がある。

 LAN環境でFTPを実行してトラフィックを計測したところ,6Mビット/秒の帯域が2分間にわたって必要であることが分かった。FTPに合わせて6Mビット/秒の専用線に加入するのは,コスト面で現実的でない。

 対策として,(1)帯域管理装置の導入,(2)FTPを別回線で伝送――の二つが候補になった。A社はネットワークが複雑になるのを避けるため,帯域管理装置を導入することにした。

 帯域管理装置では,審査システムの最低保証帯域を確保したうえで,他のトラフィックよりも優先させる。残りの帯域をFTPなどで利用する。FTPのセッションが切れないように制御するため,時間はかかるがFTPも通信が止まることはない。