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大沼 守一氏 NTTコミュニケーションズ ソリューション事業部ITビジネス推進部AppMasterコンサルタント

川崎 啓介氏 NTTコミュニケーションズ ソリューション事業部ITビジネス推進部AppMasterコンサルタント

97%の時間は1.5Mビット/秒で十分

 ほとんどの時間(97%の時間)の帯域消費量は1.5Mビット/秒以内に収まっている。バースト時間を無視し,回線速度を1.5Mビット/秒にすべきか。それとも重要なアプリケーションの応答性を保証するために,大容量の回線を用意すべきか。A社は,アクセス回線の帯域を自社で判断できなかったため,3ベンダーの意見を聞いた(図1[拡大表示])。それぞれの提案内容は次の通り。

図2 A社は帯域管理装置を導入するとともにアクセス回線速度を「通常時帯域+ピーク帯域」に設定した
 どんなにバースト・トラフィックが発生してもホスト通信などの重要アプリケーションの応答性能を確保するために帯域管理装置で優先制御。一方,夜間のバッチ処理で使うFTPのトラフィックも一晩で終了するように,アクセス回線の速度を「通常時帯域+ピーク帯域」として設定した。このピーク帯域は夜間のバッチ処理でFTP転送する最大のファイル・サイズを基に計算した。大阪,名古屋,東京の各拠点の回線速度は7Mビット/秒,7Mビット/秒,9Mビット/秒となった。
 ベンダー(1)は,「IP-VPNは専用線より安いため,従来と回線コストが同一になるような帯域を選べばよい」と提案。ベンダー(2)は,「経験上,重要アプリケーションの応答性能を確保するには,ピーク・トラフィックの3倍の帯域にすべき。A社の専用線の回線速度はピーク・トラフィックを基に決められているので,現在の3倍程度の帯域にアップすべきである」という。

 ベンダー(3)は,「どんなに帯域をアップしても,予想できないバースト・データが流れる時がある。回線速度はバースト・トラフィックを考慮せずに決め,重要なアプリケーションの品質を保護するには,帯域管理装置を使うべきだ」と提案してきた。

 A社は,ベンダー(3)の提案が最も自社のニーズにマッチしていると判断した。ホストと確実に通信できるようにしなければ意味がないからだ。ただ,提案を丸のみせず,自社でネットワークを設計することにした。

 A社は,各拠点に帯域管理装置を導入,ホスト通信及びデータベース,ノーツ用の帯域を確保し,優先度も高く設定した。これで,バーストが発生してもこれら重要アプリケーションの応答性能は確保できる(図2[拡大表示])。