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木下 智氏 スターネット ネットワークソリューション部課長 ネットワーク技術グループリーダー

VoIP(voice over IP)内線網は,運用を開始した後に,思わぬトラブルに巻き込まれることがある。機器の2重化などのバックアップ体制も,思惑通りに働かなければ逆にトラブルの原因になりかねない。また声の途切れなど音質に関するトラブルは,原因の特定に手間取りがちで,根本解決に時間がかかるケースが多い。

 VoIPを使った内線電話網のトラブルは,一般に原因の特定が難しい。TDM(時分割多重装置)による内線網より機器構成が複雑で,データ・トラフィック量の変化などに左右されるケースが多いからだ。

 予想外のトラブルに遭遇した2社の事例から,解決方法を見てみる。

特定拠点間の通話が不能に
内線網が2グループに分断

電話番号とIPアドレスを対応付けるゲートキーパーは,停止すると全拠点の内線通話が不通になる重要な機器。2重化が望ましいが,回線障害の際に切り替えがうまくいかず,相互通話できない拠点ができてしまう危険性がある。2台を同時に運用するのではなく,障害発生時に確実にバックアップ機に切り替える仕組みが必要だ。

図1 A社ではセンターのIP-VPN回線の障害に伴い,相互に通話できなくなる拠点が発生
東京センターのアクセス回線で断続的な回線障害が発生。このため,一部の営業所に設置してあるVoIPルーターの問い合わせ先ゲートキーパーが大阪センターのセカンダリ機に切り替わった。しかし,東京センターのプライマリ機にアクセスし続ける営業所も残り,異なるゲートキーパーを使う拠点間で通話ができなくなった。
 A社は,IP-VPN(仮想閉域網)サービスで約60拠点を結んだ大規模なVoIP内線網の運用中,東京センターのIP-VPNアクセス回線の障害に遭遇した。障害は30分以内に復旧したが,思わぬトラブルに見舞われた。障害の直後,特定の拠点への電話が通じないとの報告が相次いだのだ(図1[拡大表示])。

 トラブルの情報を総合すると,「A-B営業所間やC-D営業所間は通話できるが,A/B営業所とC/D営業所の間は通話できない」という現象が発生していることが判明。内線網が2グループに分断されているようだった。

 A社の担当者は,各拠点のVoIPルーターTelnetでログインして動作状況を確認してみた。すると異常の原因はすぐに分かった。VoIPルーターの問い合わせ先ゲートキーパーがプライマリとセカンダリに分かれ,二つのグループを作っていたのである。障害対策としてA社は,ゲートキーパーを2重化してあった。