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山田 英史氏 ディアイティ 技術部長
森 勝氏 サイバーソリューション ソリューション推進室

図1 基幹業務サーバーを東京本社に置き,広域イーサネット・サービスを使って五つの支社を接続したA社は,ある日の14時ころ,本社のアクセス回線のトラフィックが回線容量をオーバーしていることを発見し,再現性があるか調査した
A社は,ネットワークを稼働させた日から継続的に,SNMPを使ってトラフィックを監視してきた。過去3カ月のトラフィック情報を分析したところ,毎月20日の14時前後にトラフィックが急増する傾向があると分かった。

毎月同時刻にトラフィックが飽和

 新ネットワークを稼働させてから数カ月後のある日,A社の情報システム担当者が東京本社の日次トラフィックを示すグラフを確認していると,気がかりなトラフィック傾向が見つかった(図1[拡大表示])。東京本社のルーターのトラフィックが14~16時の間,アクセス回線速度と同じ1.5Mビット/秒に達していたのだ。幸いにしてエンドユーザーからのクレームはなかったが,早速調査を開始することにした。

 まず,過去1週間のグラフを確認したところ,一時的でもピーク・トラフィックが回線速度に並ぶ傾向は他には見つからず,この日だけの現象だということが分かった。

 次に,過去1カ月のトラフィックのグラフを確認。前月も今月と同様に20日の14時ころからトラフィックが急増しており,契約回線速度に達していることに気づいた。

 さらに,過去3カ月分のトラフィックの統計グラフを調べた。どの月も20日午後のトラフィックだけが急激に高くなっている傾向が見て取れた。

本社と全拠点のグラフを比較

 続いてA社の情報システム担当者は,各支社でのアクセス回線のトラフィック・グラフを出力。これら5拠点でも,毎月20日にトラフィックが著しく増える傾向を示していることが分かった。ただし,トラフィックのピーク値は東京本社ほどは高くはなく,アクセス回線速度の半分以内に収まっていた。

 情報システム担当者が各拠点でヒアリングしたところ,毎月20日は請求書を発行するために基幹業務サーバーをよく利用することが分かった。A社では,請求書の印刷データを基幹業務サーバーから直接各拠点のプリンタへ出力する仕様にしていた。このため,大量のプリント・データがネットワークを通過していたのだ。

 結局A社は,トラフィックの集中する東京本社のアクセス回線を,1.5Mビット/秒の専用線から6Mビット/秒のATM専用線に変更した。仮にすべての支社のトラフィックが各アクセス回線容量の上限に近ければ,その総和は7.5Mビット/秒となり,6Mビット/秒では不足する。しかし実際は,各支店のトラフィックはピーク時でもそこまで高くはない。A社は,アクセス回線の変更後も監視を続けているが,東京本社のアクセス回線の使用率はピーク時でも50%程度に収まっている。