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鈴木 健氏 ネクストコム テクニカルサポート1部

IP電話の音声が途切れる
音声VLANを優先処理

IP電話は音声をデータとして扱うとはいえ,あくまで電話である。たとえ他のデータ量が急増した場合でも,一時的にしろ音声が途切れては使い物にならない。電話専用の音声VLANを構築したら,他のVLANと区別し,“優先”して扱う必要がある。

 建材メーカーのC社は,IP電話システムを導入したが,トラブルが絶えなかった。他のVLAN通信の影響を受け,声が途切れる,雑音が大きい,無音状態が長く続くなどの現象が起こっていたのである。

FTPなどがIP電話に悪影響

 そのためC社は,IP音声専用の音声VLANを構築し直した。

 C社はそれまで,音声とデータを同一のVLANに通していた。そのため,社員がFTP(file transfer protocol)により大容量ファイルを転送した場合などに,IP電話の音声が途切れるなどの影響が生じていたのである。

 IP電話は「会話をする」という特性のため,極めて高い安定性が要求され,データの遅延はほとんど許されない。Webサイトへのアクセスやデータのダウンロードのように途中で中断してしまったり,流れるデータ量が大きく変動するようなことは,可能な限り避けなければならない。そのためには,音声専用VLANの構築が必須と判断した。

図3 C社はIP電話を導入後,音声専用のVLANを構築した
IP電話を導入したが,当初は音声とデータを同一のVLANに通していた。そのため,パソコンでFTPによる大量データ転送をした場合などに,IP電話の音声がとぎれるなどの影響があった。そこでIP電話専用のVLANを構築して,音声とデータの通り道を分け,スイッチでは音声を優先処理するように設定した。

スイッチで音声を最優先に設定

 さらにC社は,IP電話専用のVLANを構築して音声とその他のデータの通り道を分けるだけでは不十分と考え,他のVLANを流れるデータよりもIP電話のパケットが優先されるようにQoSを設定した(図3[拡大表示])。

 具体的には,図3のレイヤー2スイッチの設定で,パソコンを接続したVLAN(aとb)のCoS(class of service)値をゼロに設定した。CoSは,VLANが多重されている場合に使うレイヤー2での優先制御(QoS)である。

 この機器では,IP電話(音声 VLAN)は自動的に「cos=5」に設定される。設定は8段階で,数値が大きいほど優先度が高くなる。結果,IP電話のデータが優先されることになる。

 IP電話以外にも,在庫管理システムなど即時性と安定性が求められるアプリケーションについては,他よりも高いQoSを設定しておく必要がある。