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鈴木 健氏 ネクストコム テクニカルサポート部

絶対優先キューのない機器がある

 A社の販売子会社であるB社は,親会社での導入成功事例を目にし,自社でもIP電話の導入計画を立てた。A社と同様,情報システム部門が管理する上位のL2スイッチで,音声パケットのCoS値を設定して,音声パケットを絶対優先で処理させることにした。

 しかし,ここで問題が発覚した。B社が導入しているL2スイッチには絶対優先キューの機能がなく,高優先と低優先の2段階しか指定できないのだ。実際にIP電話を試験導入してみると,他の部署のデータ・パケットが影響し,ときおり音切れが発生したり,音質が劣化することが確認できた。

 かといって,全社のL2スイッチを置き換えるほどの予算は組みにくい。このままではIP電話の導入を延期するしかなかった。

図2 B社はレイヤー2スイッチの設定の工夫で,音質改善に成功
高いCoS値のパケットを必ず優先する「絶対優先キュー」に対応していない製品を導入していたB社だが,高優先度と低優先度のパケットの比率を,255:1と最大限に変更。実質的に音声パケットは最優先で転送されるようになった。

高優先キューの重みを最大に変更

 そこでB社は,ベンダーに問題解決を依頼した。ベンダーは,L2スイッチの設定を工夫して,IP電話を導入する提案をした(図2[拡大表示])。

 高優先と低優先のキューは,両者の間で重みを付けて交互にパケットを送出する。デフォルトの設定では「2対1」である。これは,高優先キューが2パケットを送出すると,低優先キューが1パケットを送出するサイクルを繰り返す意味である。このため,高優先キューに音声パケットだけを入れても,音質の低下が懸念された。

 しかし,ベンダーが調査したところ,B社が導入したL2スイッチは重み付けを最大で「255対1」に変更できることが分かった。この設定を採用すれば,高優先キューに入れたパケットは「絶対優先」のように処理されるはずだ。

 さっそくB社の担当者は経理部でIP電話を導入し,新しい設定を試した。1週間後,ユーザーにヒアリングすると音質面で目立ったクレームはなかった。これで音質の問題は解決した。

 B社が導入していたL2スイッチは,キューイング機能の重み付けが可変だったために問題を解決できた。しかし中には,FIFO方式のキューイングを採用し,パケットの順番を入れ替えられない製品もある。既存のネットワーク機器を温存してIP電話を導入する場合は,その機能をチェックすることが重要になる。