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鈴木 健氏 ネクストコム テクニカルサポート部

異常な大量パケットはLAN機器で破棄

 構成機器すべてにスパニング・ツリー・プロトコル(STP)を適切に設定しておけば,基本的にループ経路は発生しない。システム部は管理下にないレイヤー2(L2)スイッチの存在を疑った。調べたところ,ある部署がSTPを適切に設定していないL2スイッチを勝手に接続していたことが分かった。即座にそのL2スイッチを切り離し,L3スイッチを再起動して,IP電話ソフトの不具合を解決した。

 そこでシステム部は,今後も同様のトラブルが起こらないように無断でLAN機器を接続することを禁止,社内へのアナウンスを徹底した。さらに,万一ループ経路が形成されても,発生したブロードキャスト・パケットの割合から異常と判断したら,パケットを破棄する設定を施した。

標準スパニング・ツリーは不十分
拡張版の切り替え機能を活用

IP電話システムの安定性を高める対策の一つとして,LANの経路を2重化することが挙げられる。ただし,標準的な経路切り替え機能では障害復旧に時間がかかる。高速版の切り替え機能を持つ機器を使えば,数秒以内で切り替えが可能になる。

 ソフト開発のB社は,オフィス・ビルへの引っ越しを機に,LAN機器をQoS機能に対応した製品に入れ替え,IP電話システムを導入した。

 B社は新ネットワークの稼働に先立ち,L2スイッチ間でSTPを使った経路復旧機能を事前テストした。LANケーブルの一部が切断された際に,STPで無効にしてあった予備経路を,う回路として通信できるように切り替える――という内容だ。

 すると,経路障害発生から復帰までに40秒程度かかることが判明。IP電話機を使用している途中で,音声が聞こえなくなる時間としては長すぎた。