PR

鈴木 健氏 ネクストコム テクニカルサポート部

部内の通話障害が徐々に全社に波及

 中堅商社のC社では,既存のPBXベースの電話システムからIP-PBXを中心とするIP電話システムに全面刷新した。当初は順調に稼働していたが,ある日,IP電話機で通話できなくなる障害が発生した。最初はある一部門だけだったが,徐々に範囲が拡大し,最終的には全社的に通話不能に陥った。

 システム部は,まずネットワーク上にIP通信の到達性を阻害する要因があるのではないかと推定。IP-PBXに対し,pingによる導通チェックを実施した。その結果,IP-PBXへのpingはすべてのVLANから到達し,ネットワークの問題ではないことが判明した。

 次に疑ったのは,不正機器の存在。方策として,IP電話機上に登録されたARPテーブルのMACアドレスを調べた。IP-PBXに割り当てたIPアドレスが,IP-PBXのLANカードとは異なるMACアドレスに対応付けられていれば,IP-PBXになりすました不正な機器が存在することになる。しかし,このチェックも問題はなかった。

IP-PBXの予備機に切り替わらず

 最後に,IP-PBX上で複数稼働しているサービスの動作をチェックした。すると,音声交換機能を持つサービスがエラーを起こしていることが分かった。C社ではIP-PBXを2台構成で冗長化しており,通常使用するプライマリIP-PBXが動作不良になっても,セカンダリ側に切り替わり,サービスを継続できるはずだった。

 ところが,今回のエラーは2台のIP-PBX間では動作不良を検知できず,サービスの切り替えもできなかった。メーカーに問い合わせたが原因は不明だった。

図3 C社はIP-PBXの自動切り替え機能に加え,手動切り替え体制も整えた
障害時にIP-PBXを自動的に切り替える機能を使っていたが,切り替えができないケースが発生。手動で切り替える体制も必要と判断し,IP-PBX上で稼働する各種ソフトウエアの状態を監視することにした。

SNMPで監視し手動で切り替え

 システム部は,応急措置として動作不良を起こしたプライマリIP-PBXをLANから取り外した。これにより強制的にプライマリがダウンした状態になり,サービスはセカンダリに切り替わる。これで通話機能は復旧した。

 今後の対応策としては,IPミPBXの稼働状況を監視することにした。IPミPBXは稼働している各サービスについて,管理情報のデータベースであるMIB(management information base)を提供している。SNMP監視ツールを使ってこのMIB情報を取得し,各サービスごとの動作をチェックする体制を取った(図3[拡大表示])。

 各サービスの動作不良を即座に検知できるようになり,セカンダリIP-PBXへの切り替えが正常に動作しなかった場合も復旧時間を短縮できる。また,非常時にはプライマリ側のLANケーブルを抜いて強制終了させるといった復旧マニュアルを整備し,システム部の誰でも対応できるようにした。