図2 B社は当初,単一ASでマルチホーミング環境を構築した
専用線に障害が発生したとき,東京あてのパケットが届かなくなった。ISP XのルーターはAS 100内の障害を検知できない。

拠点間の回線障害を検知できず
異なるAS番号を使い解決

単一ASはネットワーク・トポロジがシンプルだが,プロバイダ側から見るとAS内部の障害は分からない。AS番号を変えることで解決できる。

 情報サービス業を営むB社は,東京と大阪にデータ・センターを持ち,自社運用している。東京のデータ・センターでホスティング・サービスを提供し,大阪のデータ・センターを社内システム兼開発用データ・センターとして使用していた。しかし,東京のデータ・センターのスペースが狭くなってきたため,大阪のデータ・センターをホスティング用データ・センターとしても使うことにした。

 B社は大阪のデータ・センターのマルチホーミングに使用するAS番号を東京のデータ・センターと同じものにすることとし,東京-大阪間で単一ASを組むことにした。そして,東京-大阪間を新たに専用線で接続した。

 しばらくして,ネットワーク監視システムから回線障害を示す報告を受けた。契約していた専用線に通信障害が発生していたのだ。B社のシステム担当者は当初,専用線に障害が生じてもデータ・センター間の通信は専用線をバイパスし,インターネット経由でできるはずなので問題はないと思っていた。両データ・センターともインターネットとの接続に障害は発生していないからだ。

 だが,実際はデータ・センター間で通信ができなくなった。さらに,B社の社員からも特定のWebサイトに通信できないとクレームが来た。

 専用線の障害復旧にあたっていたB社のシステム担当者がそのクレームについて調査したところ,確かにいくつかのWebサイトについては通信ができない。専用線の障害による影響範囲が,インターネットとの通信にも及んでいたのだ(図2[拡大表示])。