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図3 既存の社内ネットワークを生かすとコストが増加
B社はIP電話を導入するに当たって,既存のネットワークにそのまま導入する方法を検討していた。(1)音声系の回線を追加する方法,(2)既存の回線に音声とデータを統合する方法――と二つの案が挙がったが,どちらの案も通信コストの増加が避けられなかった。
図4 ブロードバンド回線のサービスを活用してWANを見直し
B社は,IP電話の導入によるコスト・メリットを引き出すため,社内ネットワークの再構築を決めた。新社内ネットワークでは,格安な回線サービスやWANサービス,ブロードバンド回線を活用した。この結果,以前と同じ回線コストで音声品質を劣化させることなく音声とデータを統合できた。

低速回線は帯域制御が機能しない

 B社はまず,既存の社内ネットをそのまま,拠点間通話の音声網として共用できないか検討した。しかし使用率が70~80%の低速回線では,何らかの方法で音声パケットを優先的にやり取りしないと音声品質が劣化する。音声パケットを均等な間隔で送り出せないため,通話が途切れて聞こえるのだ。

 そこでB社は,ルーターの帯域制御機能を使って音声パケットのやり取りに必要な帯域を確保するようにした(図3[拡大表示])。あらかじめ設定した帯域以上の業務アプリなどのトラフィックが発生すると,ルーターが一時的に業務アプリのパケットをバッファ・メモリーに蓄積して送出タイミングを遅らせる。

 ところが,ルーターの帯域制御機能は回線帯域に余裕がないと効果を発揮しない。B社は擬似的に音声パケットを発生させて,ルーターの帯域制御機能が有効に機能するか調べた。この結果,現状の社内ネットでは再送やエラーが頻発し,業務アプリのレスポンスが著しく低下した。

 そこで音声品質を確保するため,データ用とは別に音声用のアクセス回線を引き込む案も挙がった。

既存通信コスト内でネット再構築

 しかし,新規アクセス回線の追加は,追加した分がそのままコスト増にはね返る。B社は既存のフレーム・リレー網全体が帯域不足に陥っていることが問題の本質と考え,ネットワークを高速化する案も検討した。しかし全拠点でアクセス回線を高速化すると通信コストが大幅は増加する。

 そこでB社は,現在の通信コストを維持したまま高速化できないか検討した。具体的には,小規模な130拠点は格安なブロードバンド回線インターネットVPN,大規模30拠点はIP-VPNと分割する案を検討(図4[拡大表示])。社員が常駐していない小規模拠点では,ネットワークの利用頻度が低い。このため信頼性の低いインターネットVPNでも十分と判断した結果だ。

 小規模拠点の通信コストは,フレーム・リレーで1拠点当たり月間4万円以上かかっていた。インターネットVPNに移行すると,月間1万円程度に抑えられた。ここで浮いた通信コストはすべて,大規模拠点の高速化に振り向けた。大規模拠点のアクセス回線は,DA1500メガデータネッツの2Mビット/秒品目を採用。高速化で帯域制御も有効に動作した。