西武百貨店は7月9日、NTTデータと業務提携して、情報戦略を大幅に強化する方針を発表した。これまでは情報化投資の主軸をPOS(販売時点情報管理)などの店舗システムに置いていたため、社内業務の効率化が遅れていた。ネット販売への取り組みにも消極的だった。

 加えて、グループ全体で情報化の先進企業へと脱皮を図るためには、現状の情報システム部門の資源では限界があった。

 そこで、NTTデータから自社にないノウハウや技術力を借り、IT(情報技術)を基盤とした業務改革や新規事業の創出につなげる構え。大手顧客を確保したいNTTデータと情報戦略を強化したい西武百貨店の狙いが一致した。

 まずはEC(電子商取引)事業の強化に着手する。採算の悪い法人向け外商における受発注業務の大半を手作業からインターネットへ置き換える。このほか、中元や歳暮といった消費者向けギフト商品のネット販売システムを刷新する。今後3年間で「ネットによる売り上げを500億円程度にする」(堀内幸夫社長)。

法人営業の効率化を目指す

 提携の狙いの1つである法人向け外商営業は、ノベルティグッズや制服、ギフト用品などを扱い、年商約500億円の規模。ここ数年、百貨店各社の法人向け外商営業は落ち込んでいる。入札競争なども激しく、店頭販売に比べて収益性が悪い。

 西武百貨店でも法人向け外商営業は1人の担当者が受注から商品確保、配送手配までを手作業で対処しており、業務効率の悪さが課題だった。そのため、インターネットを活用して効率化する仕組みを模索していた。

 今回の提携により、受注から決済までのシステムを構築し、法人向け外商営業の業務改革を本格化する。新システムでは、ホームページに設けた窓口で注文を受け付ける。顧客は在庫や配送状況の確認、代金決済までをホームページで行える。顧客の問い合わせに対してはコールセンターを整備し、過去の取引状況から応答する。これにより営業担当者の事務を軽減する。

 西武百貨店は破たんしたそごうとの事業統合を進めており、新システムはそごうへの提供も検討している。

 外商の改革に加えて消費者向けの中元ギフトのネット販売システムや顧客情報システムも刷新する。手始めに10月から既存のネット販売システムに、ポイントカードの会員顧客が景品を確認できる機能などを盛り込む。

 将来的には顧客情報システムを再構築し、店舗とネット販売における顧客の購買履歴を統合することでマーケティングの強化につなげる。

NTTデータが西武に20億円出資

 今回の提携でNTTデータは西武百貨店から発行済み株式174万株(総数の1.26%に相当)を約20億円で取得した。

 西武百貨店の情報システム部門は現在、システム企画を担当する10人程度で構成。今後はNTTデータからコンサルタントやエンジニアの派遣を受け、共同で新事業のビジネスモデル構築とシステム開発にあたる。

 提携の内容はNTTデータが西武百貨店の情報システム構築をすべて請け負うといった排他的なものではないが、業務改革に伴う新規の情報化案件については優先的にNTTデータが協力することになる。

三田真美 mmita@nikkeibp.co.jp

記者の視点:価格競争力が弱い百貨店にとって、法人外商やギフトのネット対応だけでは勝ち残りは厳しい。顧客情報の活用や単品管理システムなどにまでNTTデータを巻き込めなければ提携のメリットは生まれてこない。