サントリーは10億円を投じて、ビールや洋酒、清涼飲料などの全商品を対象にした需要予測システムを導入する。予測精度の向上によって、来年末までに在庫数量を平均15%削減するのが狙い。新システムはテスト運用を経て、年内に本格運用を始める。

 需要予測は、兼任を含む計13人のスタッフが担当している。しかし表計算ソフトを使った分析作業であるために効率が悪く、重点的に需要を予測できるのは新商品や販促キャンペーンの対象商品、ビールなど一部の商品に限られていた。大半の商品については、「需要予測の精度を改善する余地が大きかった」(中井敏雄SCM本部SCM推進室課長)。

 しかも月単位の販売量を10日ごとに予測していたために、市場変化への対応が遅れがちだったという。

 そのため、欠品を避けるには在庫を多めに確保せざるを得ず、これが大きな負担になっていた。

 そこで新システムによって需要予測の業務を自動化するとともに、全商品について毎週、翌々月までの需要を1週間単位で予測できる体制を整える。これによりこれまでスタッフの手が十分に回らなかった商品についての予測精度を向上して、欠品を増やさずに在庫量を絞り込む。清涼飲料水を例にすると昨年は23日分だった平均在庫量を、19日分に減らせる見通し。

営業と密接に情報連携

 これまで需要予測の担当部門と営業部門の間における情報連携が十分でなかったことも、予測精度が低下する原因の1つになっていた。

 「営業の各現場が客観性に欠ける販売目標を提示してくるだけだったために、需要を予測するうえでは参考程度にしかならなかった」(中井課長)という。

 そこで重点商品については、営業戦略を立案する営業企画部から「目標」ではなく、客観的な「見込み」の販売予測を提出させることにした。具体的には毎月20日に、翌月の販売数量を週別に予測させる。さらにその数値を、翌月10日に見直させる仕組み。

 これと併せて、これまで1人のスタッフが担当していた需要予測と在庫管理の業務を分けて、需要予測の担当者が常に営業企画部と連絡を取り合えるようにした。一方で在庫管理の担当者は営業部門の要請に左右されずに、製造部門と協議して生産計画を立案できる。

予測精度が悪いとシステムが警告

 大半の商品についてはシステムが算出した需要予測をそのまま用いるが、信頼性を高めるために2週間連続で実績との誤差が一定値を超えると自動的に警告する機能を設けた。その場合は直ちに専任スタッフによる予測に切り替え、システムを調整する。

 需要予測システムには、マニュジスティックス・ジャパン(本社東京)の「NetWORKS」を採用した。「過去の販売実績から販促策による効果を除いて、需要を予測する機能が優れている」(中井課長)という。

中山 秀夫 hnakayam@nikkeibp.co.jp

記者の視点:営業部門から販売「目標」でなく「見込み」を提示させる仕組みに変えたが、それでもまだ数値の信頼性が低いという。今後は営業部門の在庫責任を重くして、見込みの精度を上げる必要があるだろう。