■ 狙い:顧客情報を活用し、リテールを強化。6億円の増益効果を期待
■ コスト:データベースとイントラネットの構築に約22億円
■ IT:富士通のGP7000Sモデル1000とオラクルのOracle8iを採用
滋賀銀行は99年12月、新たに顧客情報システムを稼働させ、リテール(個人取引)の強化を図る。
新システムは約300万の顧客の属性や預金・融資情報、取引履歴など、従来はそれぞれ別のシステムで管理していた情報を一元的に管理する。月次で管理していた預金残高や取引履歴も日次で把握できる。顧客ごとの取引コストや収益を把握する収益管理システムとも連動させ、どの顧客にどういった商品を薦めれば収益向上が図れるかを分析し、効率的なセールスの展開に生かす。
投資額は約22億円。データベース・マーケティングによる販促の効率化やサービス強化などで、年間6億円の増益効果を見込んでいる。
機動的な販促企画の立案が可能に
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新たに構築した統合データベースを活用して効果的な販促を展開、リテールを強化する |
新システムは主に販促企画と141ある営業店の支援に活用する。
販促企画では、企画部門のスタッフがデータ分析ツールを使って顧客情報を様々な角度から分析して、販促計画の立案をスピードアップさせる。例えば、カードローンの拡販キャンペーンの場合、過去の利用者データから勤続年数や職業、年収といった情報で返済不能発生率を計算。それによって顧客をいくつかのグループに分類し、どのグループまでカードローンの勧誘をすれば最大の収益を上げられるかをシミュレーションできるようになった。
従来は、対象顧客を抽出するには情報システム部門に依頼しなければならなかったため、複雑な条件設定をするとリスト作成に1カ月程度かかるなど、機動的な販促策を打てなかったという。
加えて、収益管理システムと顧客データベースを連動させたことで、「どういう属性の顧客の収益性が高いか」などの分析もできる。これを基に、収益性の低い顧客をより低コストのチャネルに誘導したり、利益率の高い商品を薦めるといった対応が可能。
データベース上の情報は、営業店のパソコン上で見られる。加えて、コールセンターやインターネットなど、営業店以外のチャネルにおける接触履歴を把握できるため、顧客サービスの向上を期待できるという。
2000年前半には、定期預金の満期が近付いたり、解約した顧客がいた場合に、営業店の端末に自動的に通知して迅速に対応できるようにする。
データベース容量は1.5テラバイト
データベース・サーバーには富士通のGP7000Sモデル1000を採用。ディスク容量は1.5テラバイトと余裕を持たせた。データベースはOracle8iで構築し、24時間のオンライン検索を可能にした。営業店に導入済みの約2000台のパソコンとはイントラネットで接続し、WWWブラウザでデータベースにアクセスする。
システム構築とコンサルティングは、富士通とフューチャーシステムコンサルティング、金融エンジニアリング・グループ(本社東京)が担当した。