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狙い:低コストでコールセンターを運営すると同時に、顧客満足度を向上する
コスト:未公表
IT:米ブルーパンプキンが開発したPrimeTime Enterpriseを採用

99年10月に営業を開始したソニー損害保険(本社東京)は、顧客からの電話による問い合わせや見積もり依頼を受け付けるコールセンターの人員配置計画を自動的に作成するシステムの活用を開始した。担当者の人手が足りずに応答できないまま切れてしまう「放棄呼」を削減して顧客満足度を向上するとともに、曜日や時間帯によって変動する着信量に合わせて担当者を効率良く配置するのが狙い。

 繁忙期に担当者の数が少ないと電話がつながりにくくなり、顧客に不快感を与えてしまう。その一方で、着信量以上の多くの担当者を勤務させると、人件費がかさむ。こうした問題を回避するために、着信の総量に対する放棄呼の割合を適正値といわれる10%程度にする。

 このシステムは、過去にかかってきた着信量を時間帯や曜日別などで分析。新聞広告をはじめとする販促活動による宣伝効果などを加味して、曜日や時間帯による繁閑の差を事前に予測する。この結果をもとに、担当者の勤務希望や能力を考慮しながら最も効率的な配置計画を作成するもの。

複雑な作業を自動化してコスト削減

コールセンターの人員配置を最適化して、顧客満足の向上とコスト削減を両立

 ソニー損保は、電話とインターネットを使った個人向け自動車保険の営業手法が特徴。東京都大田区にコールセンターを設置して、午前8時から午後10時までサービスを提供している。見積もり依頼の受け付けだけで数百人の担当者を抱えているうえに、勤務時間など担当者の勤務パターンは最大で11種類に上る。

 加えて、顧客からの着信量は時間帯や曜日などによって数倍の開きがある。このため、人員配置計画の立案は煩雑を極めることが予想できた。

 そこで同社は、コールセンターの設置に合わせて着信量を事前に予測して、それに見合った適切な担当者の人数や組み合わせを自動的に割り出せるシステムが不可欠と判断した。

担当者の能力も考慮

 着信した電話を担当者に振り分ける機器であるACD(オートマチック・コール・ディストリビューション)で、着信量などを把握する。システムはこうしたデータや、新聞広告などの記録をもとに、2週間先の着信量を予測する。今後の販促計画や担当者の勤務希望日を入力して、最適な人員配置計画を作成する仕組み。

 管理者はこれを微調整して、担当者に2週間ごとに勤務指示を出す。事前に登録してある担当者の就業形態(パートや契約など)や経験に基づいて、より高い能力を持つ担当者から優先的に配置することも可能だ。

 ソフトウエアは、米ブルーパンプキンのPrimeTime Enterpriseを使用。システム構築は、オムロンソフトウェア(本社京都市)が担当した。投資額は未公表。

力竹尚子 rikitake@nikkeibp.co.jp