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狙い:通信インフラの共有などにより、間接部門のコスト削減を目指す
コスト:3社合計で年間100億円の通信コストを25%削減
IT:共通のERPパッケージソフトを軸にしたシステム統合なども視野に

総合商社大手の三菱商事と三井物産、住友商事の3社は、1月から情報システムを中心に総務、人事、経理といった管理部門の業務統合を視野に入れた提携を進めていることを明らかにした。

 手始めに共同で通信コストの削減に着手する。現在、各社は国内外における電話やファクシミリ、データ通信などに、それぞれ年間で30億~40億円の通信コストを費やしており、3社全体で100億円前後になる。

 そこで、3社で別々に契約している通信会社を1社に統一。共通の専用線を借りることで、「約25%前後のコスト削減を見込める」(三井物産の島田精一専務)という。

 総合商社は、総務など間接部門のアウトソーシングを進めることなどで、高コスト体質からの脱皮を図っている。コスト削減は各社共通の課題であり、情報インフラなどを共同で利用したほうがスケールメリットを追求でき、効果が大きい。そのために3社の経営トップが、昨年末に間接部門の統合に向けて積極的に協力する方向で合意した。

 現在は、情報システムや人事、経理など9つの分科会を設け、それぞれの部門長クラスのメンバーが集まり、互いの業務のうち、共通化できる部分の洗い出しを進めている。各分科会がまとめた要件を基に、3月ごろまでに第1弾の具体策をまとめる予定だ。

共通のERPソフト採用がきっかけ

 今回の提携は、各社が管理部門の業務システムに独SAPのERP(統合業務)パッケージであるR/3を利用していることが契機になった。

 三菱商事は97年から、他の総合商社に先駆けてR/3を基幹業務システムに採用。一方、三井物産は今年4月からシンガポール、米国、欧州などの主要拠点で順次、R/3による業務システムを稼働する予定だ。

 加えて、住友商事も2001年の東京本社移転をメドに、R/3を導入することをほぼ確定している。

 こうした背景から、3社が情報インフラを共有することも可能となり、間接業務の統合に向けた話し合いが一気に進んだという。

 総合商社は日本独自の業種であるため、海外の業務パッケージを使う際に機能を追加せざるを得ない。だが、ソフト会社は、日本だけの少数意見とみなしてなかなか機能変更を受け入れないという。しかも、定期的なソフトのバージョンアップへの対応もコストがかかっている。

 そこで、3社がERPパッケージに精通した互いの人材を融通しあったり、機能追加や新規要件をまとめてソフト会社に提案できればメリットが大きい。今回の提携では、こうした点を踏まえつつ、会計や人事管理といったシステムの共同利用が可能かどうかまでを検討する。

丸紅などとの5社提携も視野に

 総合商社では丸紅のほか海外子会社を含めれば伊藤忠商事もR/3を採用している。「今後の話し合いによっては、5社で管理部門の業務システムを共通化することも考えられる」(三井物産の佐伯基憲IT推進部長)という。

 経営基盤が比較的安定している大手の総合商社が、情報インフラの共有といった間接コストの削減に踏み込んだことで、商社間の優劣がよりはっきりしそうだ。

三田真美 mmita@nikkeibp.co.jp