■ 狙い:ターミナルの業務改善による競争力強化で国際シェア7%を目指す
■ コスト:公表していないが、システム全体に数億円を投じた模様
■ IT:韓国製パッケージソフトのCATOS Proを採用
川崎汽船は2月、国内4カ所にあるコンテナ・ターミナルにおける業務効率を向上させるために、情報システムを刷新した。煩雑でベテラン担当者の経験に頼りがちだったターミナル業務にメスを入れ、コスト削減と業務のスピードアップで競争力を強化するのが狙い。投資額は公表していないが数億円の規模と見られる。
海運業界では、99年にデンマークのマースクと米シーランドが合併したように、大手同士の合併や提携による「メガキャリア」化が加速。加えて中国や韓国が低コストを武器に急進し、海外の大手でもグローバル市場におけるシェアは10%ほどという状況。
こうしたなか、川崎汽船はこれまで情報化で後れをとっていたコンテナ・ターミナルの業務を抜本的に改善することで他社と差異化し、国際コンテナ輸送におけるシェアを現在の3~4%から7%まで高める考え。
複雑な計画をリアルタイムに立案
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情報連携で国際競争力を向上へ |
コンテナ・ターミナルは、コンテナに入った輸出貨物の船積みや輸入貨物の陸揚げなど、水陸運送の接点となる拠点。単純な積み下ろしだけではなく、先々での輸送効率を考えた作業計画を立案する必要がある。
例えば米国にコンテナを配送する場合、米国の港における貨物列車への積み替えや行き先を考慮して、船内のコンテナの位置や積み込む順序を決めなくてはならない。しかも荷主は頻繁に変更や追加を依頼するので、そのたびに迅速に計画を見直す必要がある。
多くの企業はいまだにこうした作業を、現場のベテラン社員の経験に頼っているのが実情。コンテナは積み下ろしに時間がかかるため、ちょっとした計画ミスが大幅なコスト増につながっている。
川崎汽船は、関東と関西に2カ所ずつあるコンテナ・ターミナルに専用システムを導入。どの拠点でも、荷主から送られるブッキング(船積み予約)やB/L(積荷証券)などの最新情報に基づいて、最適な作業計画を自動的に立案できるようにした。
荷主からの情報は、大蔵省などが主導して99年10月に大幅に機能拡張した海上貨物通関情報処理システム「Sea-NACCS」からEDI(電子データ交換)で受け取れるようにした。
同社はこれまでも情報化を進めていたが、各ターミナルへのデータ更新が1時間ごとなど柔軟性に欠けていた。
韓国製パッケージソフトを導入
新システムは韓国のトータルソフトバンク社が開発したパッケージソフト「CATOS Pro」を採用して構築した。各ターミナルには新システム用にWindowsNTサーバーを設置。本社とはフレームリレー網で接続してデータをやり取りする。SI(システムインテグレーション)は電通国際情報サービス(本社東京)が担当した。
今後は、荷主がインターネットを介して貨物の輸送状況を確認できるようにする。