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狙い:製品の見積もりや納期を短時間で伝えるほか、生産設備の予約を可能にする
コスト:データベース・システムと生産管理システムの開発費用として数億円
IT:大手システム会社にソフトの開発を依頼

 工業用バルブメーカーのキッツは7月をメドに、これまでに製造・販売した製品のあらゆる情報をまとめたデータベース・システムを稼働する。価格や納期のほか、顧客の細かい注文内容を閲覧できる。受注した案件と内容が似た過去の製品情報を参考にして、その製品の販売価格や完成するまでの時間を基に、見積もりや納期を短時間で顧客に回答できるようにする。

 工業用バルブは気体や液体を完全に密閉しなければならない。これを実現するには、バルブと組み合わせるパイプの種類によって、連結部分の大きさや形状を微調整する必要がある。このために受注した製品の見積もりや納期は、工場の技術者に必要な作業時間を確認しなければ分からず、営業担当者が回答するまでに数日間かかることも珍しくなかった。

 キッツは国内外での競争が激しくなっているため、現状のままでは業績の拡大が難しいと判断。過去に蓄積した製品情報を活用して、顧客サービスの向上を実現し、新規顧客を開拓する考え。

類似製品の情報を活用

 キッツは99年7月から、過去に手がけた製品の販売価格や納期などのデータの蓄積を開始。今年7月までにすべてのデータを入力する。

 同じ型番の工業用バルブでも、組み合わせるパイプによって、価格や納期は異なる。そこで注文ごとにコード番号を割り当て、受注案件と共通点が多い過去の事例を検索できるようにした。

 データベース・システムの導入に伴い、生産管理システムも刷新。注文情報をネット経由で工場に送って、生産設備の使用をあらかじめ予約する。

 これまでは、手作業で受注情報を管理していたため、人為的ミスによって工場の生産能力を超える注文を抱えてしまうケースがあった。このために、予定していた時間に生産設備を使えず、その結果納期が延びてしまうことも少なくなかった。

 これに加えてキッツは、注文情報をウェブEDI(電子データ交換)で、部品の取引先に送信する体制を確立する予定。現在、「情報インフラが異なる取引先に、どのような提案をするべきかを検討している」(木山徹・SCMプロジェクトチームリーダー)。

図●過去の製品情報の活用や,注文の処理時間の短縮によって他社と差異化[図をクリックすると拡大表示]

ネット調達やECの開始を検討

 データベース・システムと生産管理システムの保守・運用は、開発を担当した大手システム会社に委託する。システムの開発費用は合計で数億円。

 将来的にはシステムを拡張して、インターネット調達やEC(電子商取引)にも対応する。2003年3月までに一連の情報システムを構築して、ネット調達やECを開始する予定だ。

長谷川 博 hhasegaw@nikkeibp.co.jp