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 航空測量大手のパスコは、全営業部門を対象にCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)システムを導入する。

 まず4月に、民間企業向けの営業部門であるビジネス営業本部の営業担当者30人が利用し始めた。5月からはGIS(地理情報システム)と連動させることで、より効率の良い営業活動につなげる。

 さらに、自治体向けの営業部門である公共統括本部や地方の営業拠点の担当者約300人にも、今年度下期をメドに同じシステムを展開する。各営業担当者は、すでに配備済みのノートパソコンで利用する。

 このシステムに併せて、顧客からの問い合わせを受けるコールセンターのシステムも導入した。全社で一元化した顧客データベースにアクセスできるようにし、一貫性のある顧客対応の実現を目指す。

 CRMシステムへの総投資額は、ソフトウエアや開発コスト、新規導入したサーバーなどで4000万~5000万円。

1年かけて営業意識の改革図る

 パスコはこれまで地方自治体などを主要な顧客としてきたが、2年前に民間市場に参入した。入札制度を中心とする、それまでの営業体制に慣れていた営業意識を大きく変える必要に迫られた。

 このために昨年1年間かけて、顧客志向の営業教育と意識改革を全社で実施。これに合わせて業務面でもERP(統合業務)パッケージを導入して、業務管理レベルの向上を図った。

 CRMシステムの構築にあたって、営業ステップを6段階に標準化した。各段階でやるべき営業活動と、実際の活動状況がシステム上で一目で分かるようにした。

 システムの利用を続けてデータを蓄積した段階で、成約に至った商談データを分析し、「各営業ステップで実施する理想的なタイミングなどを、“成功モデル”として抽出する」(ビジネス営業本部営業推進室の後藤智典係長)ことも計画している。

 さらに、自社製品であるGISシステムに連動する機能をCRMシステムに付加した。顧客企業の所在地を地図上に表示できる。「営業担当者の異動の際などに後任者に同行して訪問する回数が減る」(CRM事業推進部の大滝克康部長)といった効果を見込んでいる。

担当者に「役立つ」ことをアピール

 CRMシステムで管理する商談データは、成約した時点で、独SAPのR/3上のプロジェクト管理システムや原価計算、売掛・買掛管理システムなどに渡される。営業担当者は基本的にはCRMシステムにデータを入力するだけで済み、業務処理の負担が軽くなるという。

 電子メールやファクシミリを使った顧客とのやり取りや、上司への日次報告もすべてCRMシステムで管理でき、それらすべての履歴を残すことができる。そのために自分自身の行動管理や、ほかの担当者への引き継ぎがしやすくなる。

 担当者自身の支援に役立つという点をアピールしたため、「ERP導入時の営業現場の抵抗に比べると、予想外のスムーズさで受け入れられている」(後藤係長)という。

 CRMシステムの開発には、米ピボタルのPivotal Relationshipを採用。コールセンター・システムは沖電気工業のCTstageを利用して開発した。

秋山知子 takiyama@nikkeibp.co.jp

記者の視点:GISとCRMの連動は、営業形態によっては大きな効果が期待できる。現時点はまだモバイルによる利用はしていないが、今後モバイルGISへ発展させることでさらに魅力的な利用方法に結び付きそうだ。