カタログ通販大手の千趣会は、商品の仕入れ先とのEDI(電子データ交換)を促進するために、ウェブ・サイトで提供する情報を拡充した。
 受発注業務の効率化を目的にウェブEDIを昨年に導入したが、これまでは発注情報を伝えていただけで、仕入れ先にとってのメリットが小さかった。しかも、千趣会の仕入れ先には情報化が遅れた中小企業もあり、ウェブEDIが思うように普及しなかった。

 そこで6月に、1000万円を投じて、単品ごとの販売予測や販売実績、在庫量を1日おきに更新して提示するようにした。そうした情報は、仕入れ先が生産計画や在庫計画を立てるうえで利用価値が高い。しかしファクシミリにしか対応していない仕入れ先には、「コストと手間を考えると週に1回情報を送るのが精一杯」(吉田英雄・ベルメゾン事業本部第一事業部エグゼクティブマネージャー)という。

 そこで、ウェブで最長6カ月先までの販売予測などの情報を自動的に提供する仕組みを整えた。それ以降、「仕入れ先からウェブEDIへの対応申し込みが相次いでいる」(同)という。

 これにより8月時点で、ウェブEDIに対応した仕入れ先は200社に達した。すでに専用線経由のEDIを導入している70社を含めると、年内には仕入れ先800社のうち400社との間でEDIを実現できる見通しだ。

商品情報を仕入れ先が登録

 ウェブEDIを使って、仕入れ先から様々な情報を提供してもらう取り組みも進めている。

 まず、千趣会からの発注に対する納期回答をウェブで受け付けるようにしたところ、「電話やファクシミリよりも仕入れ先が正確な納期をいち早く知らせてくるようになった」(吉田エグゼクティブマネージャー)という。これにより、千趣会は在庫管理がしやすくなったのに加えて、欠品時に次回の入荷予定日を顧客に伝えられるケースが増えた。

 さらに、仕入れ先から商品の素材や画像データといった商品情報をウェブEDIで入手する仕組みも構築した。毎年12万アイテムに上る商品情報の管理作業を軽減して、年間で数千万円のコストを削減する。顧客に送るカタログの制作期間も、従来の3カ月から2カ月に短縮できる見通し。

 8月に仕入れ先3社との間で試験的に運用を始め、2年以内に対象を400社に広げる考えだ。最終的な開発費用は、数千万円を見込んでいる。

商品情報は独自のデータ形式を策定

 仕入れ先が千趣会に商品情報を提供する際には、基本的にウェブ上でデータを1項目ずつ入力していく。ただし、商品データベースを構築している仕入れ先に配慮して、複数の商品情報を1つのファイルで一括送信できるようにした。

 商品情報の項目の並び順などを規定したデータ形式は、「今のところ有力な標準が存在しない」(吉田エグゼクティブマネージャー)と判断して、千趣会が独自に策定した。

中山秀夫 hnakayam@nikkeibp.co.jp

記者の視点: 取引先にEDIの導入を促す際に、強制力を発揮するのは現実的に難しい。そのため、千趣会のように、需要予測などのデータを提供して仕入れ先にとってのメリットを明確にする取り組みが今後広がっていくだろう。