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 東京海上火災保険は7月末、新しいコールセンター「東京海上カスタマーセンター」を稼働させ、8月から本格的に業務を開始した。東京・池袋の拠点にオペレーター用ブースを250席確保している。損害保険を代理店を通して販売している国内企業のコールセンターとしては最大級である。コールセンター・システムの開発費は非公表。

 コールセンターのオペレーターは、損害保険の契約者から寄せられる契約内容の変更依頼の処理や、契約者に対して契約後にかけるフォロー電話、販売代理店の支援などの業務を担当する。東京海上のホームページ経由で来る見込み客からの資料請求や相談にも、コールセンターが応対する。ただし、コールセンターでは保険を直販しない。

 東京海上がコールセンター・システムを再構築したのは3年ぶり。これまでは席数が現在の約半分しかなく、しかも、これまでのコールセンター・システムは、インターネット経由で届く契約者と見込み客からの問い合わせ対応や、電子メールを使った販売代理店との業務連携を想定していなかった。そのためにコールセンターとは別のシステムを立ち上げるしかなかった。今回で電話とネットの顧客を一元管理できるようになった。

電話1本で契約内容を変更できる

 新しいコールセンターの稼働で、契約者から電話で寄せられる住所や家族構成などの変更依頼の処理手順が大きく変わった。コールセンターでは電話を受けると、変更内容をその場で東京海上の契約管理システムに反映する。そして後日、確認のため、変更内容を記載した書類を契約者に郵送する。

 これにより、契約者はコールセンターに電話をかけるだけで、契約内容を変更できるようになった。書類に変更内容を記入したり、署名・押印する必要がない。契約者は従来通り、全国に約6万4000ある販売代理店を通して変更手続きの書類を提出することもできるが、その場合は書類に必要事項を記入する手間がかかるうえ、変更処理が完結するまでに数日かかる。

 東京海上は契約内容の変更手続きを契約者との電話だけで完結させられるように、契約者からコールセンターにかかってくる電話の内容を、すべて録音する。オペレーターが契約者との会話のメモを取り忘れた場合は、録音を聞き直して処理するためだ。

 コールセンターで受け付けた契約者の変更内容や問い合わせの内容は、コールセンターにある顧客データベースに反映するだけでなく、東京海上のシステム・センターにある全社の顧客データベースにも蓄積する。こうすることで、顧客情報を全社で共有する。

1つの座席で複数の電話業務こなす

 新コールセンターは、どんな電話業務にも柔軟に対応できるようにするため、「マルチ・ブース」形式にしたのが特徴。全席にあるパソコンからは、通話のインバウンドやアウトバウンド、販売代理店の支援業務、社内の事務処理作業など、ひと通りの電話作業を実行できる。その時々の経営戦略の重点項目に応じて、コールセンターのオペレーターの作業割り当てを変え、稼働率を落とさないようにする。

 新システムの開発は日本IBMが担当。アプリケーションはJavaで開発し、ウェブ・ブラウザからすべての業務を実行できる。

川又 英紀 hkawamat@nikkeibp.co.jp

記者の視点:東京海上は新しいコールセンターと全国の代理店網を併用して、顧客対応を強化している。だが、コールセンターと代理店が互いにどこまで仕事を請け負っていくかは、今後の代理店政策の大きな検討課題になる。