キユーピーは早ければ10月中にも需要予測システムを稼働させ、サプライチェーン・マネジメント(SCM)を本格化させる。

 現在、キユーピーは「新鮮度管理」と呼ぶプロジェクトを推進中。製造計画の立案プロセスや工場における製造体制の見直し、商品アイテム数の削減、受注センターの集約といった改革を一気に推進するものである。


 これによって1999年時点で平均で22日分持っていた製品在庫を、来年は12日分に、さらに2003年には10日分まで削減することを狙っている。

 需要予測システムは、プロジェクトの中核に位置するもの。システムを構築するにあたって、マニュジスティックス・ジャパン(本社東京)のSCMソフト「NetWORKS」を採用した。

「販売見込み」頼りから脱却


 キユーピーは家庭向けと業務用を合わせて約3800アイテムの商品を持つ。現在は、単品ごとに営業部門が販売計画を立て、これに基づいて商品の製造計画を立案している。卸や小売店など取引先の事情に詳しい営業部門の役割を重視しているためだ。


 ところが営業部門は販売予算を達成しようと、実際の需要見込みよりも高い販売計画を立てたり、見込みが外れるケースもあり、これが在庫削減の大きな支障になっていると判断。この仕組みを改めることにした。


 新システム稼働後は、まず主力商品約2500アイテムについて過去36カ月分の販売実績データなどを基に、3カ月先まで単品ごとの需要を予測。製造計画と物流計画を作成する。さらにアイテム数自体も年内に約3000まで絞る計画があり、在庫の削減や管理精度の向上につながると見ている。


 ただし、システムの運用を開始した後も当面は営業部門から販売計画を提出してもらうという。「予測データの精度を高めるには、システムを実際に動かし、細かく調整する必要がある」(物流企画部の舟木敏行部長)ためだ。


 こうした調整を続けて、実際の需要とシステムが弾き出す予測結果との誤差がプラスマイナス15%以内に収まった段階で、単品ごとの販売計画の作成を取りやめる。これによって営業部門は、取引先が実施するセール情報の提供など、より付加価値の高い業務に集中させる。


電話受注を撤廃、受注精度を上げる


 工場においては、ラインで製造する商品を切り替える「ラインチェンジ」に必要な時間の短縮に取り組む。製造計画をいっそう柔軟に見直せるようにするためだ。現在はラインチェンジに平均2時間ほどかかっているという。

 具体的には、設備の配置を見直したり、新しい製造用機械を導入することで、時間を短縮。例えば月に1回1000ケース分を一度に製造しているような商品についても、2~3回に分割して製造できるようにする。


 受注センターを集約して、受発注から在庫管理までを1カ所で処理できる体制も整える。受注センターは今年4月に6カ所から2カ所に集約したばかりだが、来年4月をメドに東日本受注センター(東京都町田市)に一本化。これに併せて、取引先からの電話受注を基本的に取りやめて「聞き間違いによる受注ミスの防止や、システムへの再入力の負担を削減する」(舟木部長)。これまで電話で発注していた取引先には、FAX-OCR(ファクシミリを利用した光学式文字読み取り装置)の導入などで対処する。

安倍 俊廣 toshiabe@nikkeibp.co.jp

記者の視点:食品メーカーにとって、在庫削減による商品の鮮度アップは大きな課題。在庫を10日分に削減することを来年中に前倒して実現することも検討中という。次の課題は原材料メーカーなどとの情報共有だろう。