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 新生銀行は、店舗とコールセンターなどで顧客情報を一元管理するCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)システムが本格稼働したことを明らかにした。電話や店頭など顧客の接点において最新の顧客情報を把握して顧客サービスや満足度を向上するほか、事務処理の効率化につなげるのが狙い。新システムは6月から順次導入しており、総投資額は約3億円に達する見込み。

 新生銀行は経営再建にあたり、リテール(個人取引)業務の強化を打ち出し、従来の店舗業務や事務作業などを大幅に見直してきた。新システムは40万口座の顧客に関する個人属性や取引履歴、顧客がいつどの支店を利用したか、その際どのように対応したのかという接触履歴を記録する。

 「コールセンターに問い合わせた顧客があとから店舗を訪れても、過去の履歴から迅速に顧客に対応できる。同時に店舗の運営費の削減につながる」(システム企画部のピーテル・フランケン部長)という。

 顧客情報の一元管理により、従来は店舗で処理していた通帳や債券の発行を、本社の事務部門で一括処理できるようにした。これにより各店舗に設置していた印刷機器などが不要になり、「維持費だけで年間2億円を削減できた」(同)。

資料請求業務は即日対応

 今回のCRMシステムは、全24店舗の店舗システムと、それに先立って構築したコールセンターで見込み客を管理する機能などを各業務部門で利用できるようにしたもの。

 新生銀行はこれまで支店ごとに顧客情報を表計算ソフトなどで管理。そのために複数の店舗を利用する顧客や、コールセンターと店舗を併せて利用している顧客の情報を全く名寄せできていなかった。しかも優良顧客の情報は営業担当者が個別に管理するだけで、関連商品の売り込みなどにはほとんど生かせていなかった。

 新システムは新たに導入したパッケージソフトの機能を生かして、顧客ごとの接触履歴をパソコンに逐一入力し、データベースに蓄積。支店間や各部門、コールセンターにおけるそれぞれの業務フローを電子化することで、業務処理スピードを速めた。

 例えば資料請求の場合、従来はコールセンターで受け、複数の事務部門を経て顧客に郵送していた。新システムではコールセンターで必要なデータを入力すると資料送付を担当する部門がその日のうちに発送作業にかかるなど、サービスの迅速化につながっている。

 今後は顧客との接触履歴を生かして、新規顧客の獲得と既存顧客への新たな金融商品の売り込みなどを強化する考え。

今年中にサイトの接触履歴も統合

 新システムは、日本シーベルの金融機関向けCRMソフトであるSiebel eFinanceを採用。システムの開発は新生銀行のシステム関連子会社が担当した。パッケージソフトの機能を全面的に生かしたことで、導入期間を1年以内と短期間で済ませられたという。

 さらに今年末をメドに、ホームページ上の顧客サービス機能も強化する。顧客ごとのアクセス履歴を蓄積。顧客がホームページを利用する際は、1人ひとりの接触履歴や預金の満期が近いといった情報に応じて、返礼や商品紹介のメッセージなどを流して顧客のロイヤルティを高める。

三田 真美 mmita@nikkeibp.co.jp

記者の視点:パッケージソフトは業務プロセスの刷新なくして効果を得にくい。新生銀行は、過去をすべて白紙にして業務フローを変えた。特に力を割いたのは、システム部員の意識改革と発想の転換を促すことだったという。