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図●ベンチャー企業に発注した際の主な注意点[図をクリックすると拡大表示]

 人材派遣大手のパソナは昨年12月に、中国に開発拠点を置くベンチャー企業に業務システムの開発を直接発注して、大幅なコスト削減を実現した。大手のシステム会社に発注するのに比べて、「1ケタ少ない約600万円に抑えられた」(米満昭一・執行役員IT推進本部長)という。

 対象にしたのは、社内の経費精算に伴うりん議の申請・承認を行うワークフロー・システム。画面構成やりん議の承認ルート、会計システムとのデータ連携など、すべて独自仕様にしたために、単純な開発ではなかった。

 しかし用意周到に準備して発注したため、「トラブルもなく、納期までに想定していた通りのシステムを開発できた」(同)という。今後はそうしたベンチャー企業への直接発注を積極的に進める方針だ。

 パソナは従来、業務システムを国内大手のシステム会社に発注してきた。ベンチャー企業に発注するのは今回が初めてで、「当初は信頼性や納期などの面で不安があった」(同)。そこでリスクを軽減するために、大手のシステム会社に発注する際には実施しない方策を講じた。

単純なソフト発注し事前にチェック

 まず事前に、比較的単純な派遣社員向けの教育ソフトを発注した。これによって、開発のスピードやソフトの信頼性、パソナ側の要求に対する理解力などを試した。結果として、「指定納期である1週間後を待たず2日で開発を終えたのに加えて、信頼性も満足できるレベルだった。さらに日本人スタッフを通じて要望を伝えるので、中国人開発者との言葉の壁もなかった」(同)という。

 発注契約を結ぶ段階においても、慎重を期した。開発したワークフロー・システムの著作権がパソナに帰属することや、システム開発に関する守秘義務を契約書に明記した。

 さらに、開発に入る前に双方が集まって2日間かけて話し合い、システムの機能を細かい部分まで決めた。この作業は「要件定義」と呼ばれるもので、これまで大手のシステム会社に発注する際には、手間を軽減するために、「開発を進めながら詳細を詰めていくことが多かった」(同)。

 機密情報の漏えいにも気を配った。ワークフロー・システムで扱うりん議の決裁ルートは、パソナにおける意思決定の構造そのものであるからだ。そこで決裁者が誰であるかやどういった案件が何段階の承認を経るかといった具体的な情報は、一切提示しないようにした。代わりにテスト用の疑似データを用意して、それに基づいて開発させた。

開発ツールにColdFusionを採用

 ワークフロー・システムは、マクロメディア(本社東京)の開発ツールである「ColdFusion」を使って開発した。SAPジャパン(本社東京)のERP(統合業務)パッケージであるR/3を使って構築した新しい会計システムとデータを連携させており、ワークフローで承認された経費などのデータは自動的に会計システムに反映される。

中山 秀夫 hnakayam@nikkiebp.co.jp