図●需要が見込める量だけ商品を生産する [図をクリックすると拡大表示]

 サッポロビールは今年3月から試験的に稼働させる需要予測システムを使って、過剰在庫を削減する。ビールや発泡酒を対象として12週間分の需要を予測し、それをもとに生産スケジュールを立てる。これによって、商品の売れ残りに伴う年間2億3000万円の損失を1億2000万円まで減らす。

 これまでは1カ月ごとに需要予測データを算出して生産スケジュールを決めていたが、商品の需要を読み違え、生産が過剰になることがあった。

 さらに、アルミ缶や紙ケースといった資材の発注量も需要予測データを基に決めるような体制にする。現在、1年間に少なくとも1億円程度の資材が過剰に発注されているが、新体制に移行することで、3割程度減らせる見込みだ。

 需要予測システムを導入すれば、1週間ごとに需要予測データを算出できるようになる。まだ正式には決めていないが、直近半年間もしくは1年間の販売実績を需要予測の判断材料として使う予定。これまでは、支社や地区本部から収集した商品ごとの販売予測や実績といったデータを基に、社員が表計算ソフトを使って需要予測データを算出していた。

 しかし、データの加工に時間がかかるため、商品を扱う小売業者の販売戦略といった将来の需要を測る情報を収集する時間が少なくなりがちだった。このことが、需要予測データの精度を下げる原因になっていた。

現場の情報をもとに需要予測を修正

 今回のシステム導入により、需要予測データの作成に時間がかからなくなったため、商品の生産スケジュールを決める社員は営業担当者の日報など現場の情報を見ることに集中できる。社員はこうした情報をもとに、需要予測データに調整を加える。例えば、大手小売業者がサッポロビールの商品を対象にした販売キャンペーンを計画している場合、予測データを上方修正するといった具合だ。

 需要予測データが自動算出されるため、経験の少ない社員でも一定水準以上の精度を維持できるというメリットもある。表計算ソフトを使って手作業で需要予測データを算出する場合、担当する社員に作業の進め方を任せており、精度の個人差が問題になっていた。

縮小市場のなかで利益を確保

 サッポロビールによると、今年度の国内ビール・発泡酒市場は前年に比べて2%程度縮小する見込み。こうした状況のなかで利益を確保するため、無駄なコストを徹底的に削減する方針を打ち出した。新たに導入する需要予測システムは、こうした取り組みの1つだ。

 今回の需要予測システムは、サーバーにサン・マイクロシステムズ(本社東京)の「サンファイアー6800」を採用。需要予測ソフトの開発は、野村総合研究所が担当した。新システムの導入に併せて、システムの端末として使う約60台のパソコンを、処理速度が速い最新型の機種に入れ替えた。総投資額は数億円である。

長谷川 博 hhasegaw@nikkeibp.co.jp