図●音楽ソフト会社と販売店の連携を強化する [図をクリックすると拡大表示]

 ソニー・ミュージックエンタテインメント(本社東京、SME)、エイベックス、東芝EMI(本社東京)の音楽ソフト大手3社は、音楽CDの在庫削減を目的とした情報システムを共同で運用することに合意した。各社の販売・流通部門と大手CD販売店を結んで、在庫や販促計画などの情報を共有する。4月からの運営開始を目指す。

 新システムの導入によって、音楽ソフト3社は自社が持つ在庫情報や商品情報、販促情報、生産計画、需要予測データなどを販売店に提供。一方、販売店はPOS(販売時点情報管理)データを日次で公開する。

 新システムに参加する販売店は、エイチ・エム・ヴィ・ジャパン(本社東京)、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、新星堂、上新電機など10社。

 メーカーと販売店の双方が情報を持ち寄ることで、過剰になりがちだったCDの供給体制を改め、返品率を減らす。返品が減れば、1枚当たり50~60円かかると試算されるCDのリサイクル・コストや運送費などを音楽ソフト会社は削減できる。

 販売店は、CDタイトルごとに適切な在庫量を決めるための情報を入手できるので、売れる商品の陳列スペースを拡大できる。結果として、販売機会の損失を未然に防げるようになる。

ASP形式で3社が共同利用

 新システムの名称は「ミュージック・エクスプレス」。新日鉄ソリューションズ(本社東京)が開発し、それを日本情報産業(同)がASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)形式で各社に提供する。

 新システムは、SMEが2000年5月から独自に展開してきた販売店支援システムが基となっており、そこにエイベックスと東芝EMIが相乗りする格好で運営される。ただし、他社の在庫情報などの情報は一切分からない。

 3社による投資額は明らかにしていないが、初期投資額で数億円、運用費は年間で数千万円以上はかかると見られる。費用は音楽ソフト3社が負担し、販売店は無料で利用できる。

5月には需要予測を使った取引開始

 現段階でシステムを利用している販売店10社は、SMEとだけ契約している。エイベックスと東芝EMIは、これらの販売店を軸に、個別に契約の締結を進める方針だ。

 1年間に生産するCDの実績が6000億円規模の国内音楽ソフト業界で、約1割の600億円程度が返品対象と言われている。「返品を買い取るという制度に伴うコストを小さくして、業務改革につなげたい」(ソニー・ミュージックディストリビューションの佐藤明マーケティング部次長)という。

 先行するSMEは5月から、ミュージック・エクスプレスを使って、これまで週次だった納品サイクルを半減させる計画だ。販売店が需要予測結果を活用し、こまめに発注できるような体制を整える。

渡辺 一正 kwatanab@nikkeibp.co.jp