埼玉県を中心に約60店舗の食品スーパーを運営するヤオコーは今年2月、青果部門向けの発注システムを稼働させた。本部と各店舗、仲卸業者(市場)にパソコンを導入し、受発注情報や青果の相場情報を共有する。

 店舗のパソコンでは、発注、相場情報や販売実績の閲覧といった処理をウェブ・ブラウザで実行できる。発注作業に必要な情報をすべて把握できるため、作業の負担を減らせる。

 さらに、最新の相場情報を使って、売り上げ予測のシミュレーションができるため、予測精度を向上できる。現在、青果部門で1店舗当たり1日10万円程度である粗利を、1000円向上させるのが目標だ。

情報の一元化で作業負荷を軽減

 従来、商品の原価といった相場情報は、1週間ごとに記入する発注台帳で管理していた。相場に変更があると、本部から電子メールやファクシミリで変更部分のデータだけを送って報告。毎日3~4回もデータが届いていたため、店舗が発注の際に、最新の相場を完全に把握するのに大きな手間がかかっていた。

 さらに、過去の販売実績は発注用とは別の端末でしか見られず、予測を立てる作業は煩雑だった。

 その結果、予測の精度が低くなり、「店舗が過剰に発注してしまうといった問題があった」(神藤信弘・ロジスティクス推進室システム開発担当部長兼作業改善事務局)。

 新システムによって、こうした問題を改善できる。まず、本部や市場から入力した相場情報を即座に閲覧できるようになった。さらに、発注画面で数量を入力すると、商品分類ごとの粗利が瞬時に表示される。このシミュレーション機能を活用して売り上げ予測の精度を上げれば、欠品や売れ残りを削減できる。

伝票を廃止して取引を円滑に

 本部と店舗間に加えて、店舗と仲卸業者との間の作業負荷を下げる仕組みも用意した。

 青果物は日によって原価の差が大きいため、いかに安く仕入れるかが競争力の源泉になる。店舗は基本的に、本部を介して商品を仕入れる。そのほかに、店舗の担当者が仲卸業者に直接出向いて、掘り出し物があれば担当者の判断で買い付ける「拾い買い」を認めている。

 従来、拾い買いで仕入れる場合は手書きで伝票を起こしていた。納品後、店舗では仕入れや買い掛けを管理するシステムに、伝票を転記してデータを入力。ここで、入力ミスが生じてシステムに計上した仕入れの量と、仲卸業者から請求される内容が異なることがあった。

 そのため、後からデータを修正するなど余計な手間がかかっていた。現在は仲卸業者に置いたパソコンから直接、仕入れデータを入力するようにして伝票を廃止した。

 システムの開発費は約5000万円。開発は野村総合研究所に委託した。

相馬 隆宏 souma@nikkeibp.co.jp