鹿島は2004年3月までに、設計・見積もり支援システム「DB-CAD(データベース・キャド)」を全社展開する。従来、必要以上に時間とコストがかかっていた施工図の作成や建設費用の見積もり作業を大幅に合理化する。

 工期を10%程度短縮できるほか、見積もりなどで支払う外注費を年間で25%程度削減できる見込み。DB-CADは昨年4月、東京本社で請け負った建築物のデータだけを対象に稼働した。この1年間でその効果を確認できたため、今後は全国の11支社で扱うデータも対象に加える。総投資額は未公表だが、数億円程度と見られる。

システム運用の専門部署を設立

 DB-CADは、本社に新設したプロダクションセンターが運用する。建築物の設計は、構造や設備など複数の部門が分担して作業を進める。プロダクションセンターには約50人の社員を配属し、各部門の設計担当者から設計データを集約させる。それを基に建築物全体の設計データを3次元CAD(コンピュータによる設計)を使って作成し、DB-CADに登録する。

 同センターがDB-CADで設計データを一元管理することで、3つの合理化効果を得られる。1つは、施工図の作成工程を短縮できることだ。

 実際に現場で工事する際には、鉄骨と床の接合部分などを拡大した施工図が必要になる。施工部門はDB-CADにある設計データをそのまま施工図として流用できる。

 これまでは、施工部門の担当者が、戸数100戸程度のマンションの場合で1000枚程度の施工図を作る必要があった。このため、施工部門に大きな負担がかかっていた。

 次に、各部門が個別に作成する設計データに食い違いがないかどうかをチェックしやすくする。

 プロダクションセンターの担当者は、各部門から集約して3次元化した設計データを見て、空調ダクトと柱が干渉するといった設計ミスの有無を確認する。DB-CADは壁や柱などの構造部分と空調設備などを色違いで表示できるうえ、立体的な視点から細部を確認できるので、設計ミスを見逃す可能性は低い。

 従来は、設計部門が作った設計データを第三者がチェックせずに、施工部門に送るケースが少なくなかった。このため、施工図を作る段階になって、初めて設計ミスが見つかり、設計見直しによる手間とコストが生じていた。

見積もりの自動算出が可能に

 DB-CADの3つ目のメリットは、建設費用の見積もりが短時間で可能になることだ。設計データから、柱の本数や壁材の必要量といったデータを自動的に抽出する機能を加えた。本社や支店の見積もり担当者は、柱や壁などの資材の種類を指定するだけで、建設費を見積もれる。

 これまでは、外部の業者に見積もり作業を依頼していたが、少なくとも1週間前後かかるうえに、外注費がかさんでいた。

長谷川 博 hhasegaw@nikkeibp.co.jp