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 三井住友銀行は法人顧客向けに、紙と印鑑が必要な契約をインターネットと電子署名で手続きできる電子契約サービスを10月から始める。これに先立ち、顧客向けシステムと勘定系の基幹システムをつなぐ「ネット基盤」を開発した。新サービスを開発するときに勘定系の修正が少なくて済み、開発負荷が減らせるという。銀行が電子署名を使った法人向けサービスを提供するのは国内で初めて。

 個人向け取引と違い、法人取引では顧客側に複数の利用者が存在するため電子的な認証が難しく、「書類と印鑑」の形態から脱け出せなかった。しかし昨年4月に電子署名法が施行され、今後は電子契約が拡大すると判断。先行して対応することにした。

 顧客からネット経由で送られてきたデータを、人手を介さずに勘定系に送信する。時間や手間、書類を大幅に削減でき、行内業務の合理化が期待できるという。今後は浮いたコストを還元することを検討しており、顧客にとってもメリットがありそうだ。

複数の利用者権限を認証

 ネット基盤は(1)電子認証機能、(2)外部ウェブ・サイトとの接続機能、(3)電子契約書の保管機能、(4)署名検証機能などを基本機能として備えている。特に電子認証機能では、顧客企業で「送金を実行できる人」「照会だけできる人」のように権限が異なる複数利用者を認証できる「権限認証」機能を作った。

 電子的に作成した契約書は、窓口にあるテラー端末の時刻と同期したタイムスタンプ(時刻データ)を付け、二重化したサーバーに暗号化して格納する。

 現時点までのシステム投資額は数億円。富士通がシステム構築を担当した。実際の認証は、日本ベリサイン(本社東京)の電子証明書を使う方式のほか、簡易パスワード方式と、より強固なセキュリティのICカードを使う方式も用意する。

まず4つのサービスを開始

 10月から提供するサービスは、証書貸し付け契約、被仕向け外国送金(海外からの送金の受け取り)の入金依頼、振り込み不達時(振込先の支店名や口座名が間違っていて振り込めなかった場合)の組み戻し・変更依頼、エレクトロニック・バンキング契約の新規申し込み・変更依頼――の4つ。

 例えば証書貸し付け契約は、すでに取引があり、与信枠が設定されている顧客が、つなぎ融資などで利用できる。これまでは、1000万円の与信枠が設定されている顧客が100万円ずつ何度か借りたい場合、その都度書類を作成して、銀行の担当者が受け取りに訪問していた。新サービスではあらかじめ完了しているりん議・審査状況を担当者が端末でチェックし、確認できればすぐ融資を実行できる。

秋山 知子 takiyama@nikkeibp.co.jp