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 阪急電鉄は来年度中に、顧客向けのICカードを導入する。関西圏の鉄道各社の共通乗車券機能を中心に電子マネーやポイントカード、キャッシング、クレジットカードの機能を随時追加する。利便性が高い共通乗車券は常時携帯してもらえる可能性が高い。これに独自機能を盛り込み、グループの各種サービスの利用を促す。

乗車券とポイントカードを合体

 発行するのは、非接触・接触型IC、磁気ストライプを一体化したカード。

 非接触型IC部分には、乗車券機能と、駅周辺で買い物ができる電子マネー機能を盛り込む。これは関西圏の41交通機関が加盟するスルッとKANSAI協議会の共通規格によるものだ。

 阪急電鉄独自の機能として、百貨店やホテル、歌劇団など多岐にわたるグループ事業のポイントカード機能を付加する。機能を容易に追加できるICカードの特性を生かし、複数のサービスを1枚に集約する。磁気ストライプ部分にはキャッシング機能を搭載。さらに、磁気と接触型IC部分にクレジット機能を盛り込む計画だ。

図●阪急電鉄の多機能ICカード[図をクリックすると拡大表示]

 新カードの原価は1000円前後と高いが、利用者から会費などは極力取らない方針。しかし乗車券のIC化で、構造が複雑で高価な磁気式自動改札機を、安価なIC専用機に置き換えられる。この更新費用は約110億円と、従来型のまま更新するのに比べ約40億円削減できる。

 グループ事業の顧客情報を一元管理できるメリットもある。「まずは1日約180万人に上る鉄道利用客の情報を把握し、電子メールなどでグループのサービスを案内することから始めたい」(松田圭史グループ経営本部長付カード事業推進チーム調査役)。

共通ICカードが生む新たな競争

 同様の構想を持つのは阪急電鉄だけではない。同時期に共通IC乗車券を導入する京阪電気鉄道も、ポイントカードなどとの一体化を検討中だ。

 ただし、利用者は共通乗車券を1枚持てば十分だ。自社カードの会員を獲得できればグループ全体への波及効果が大きいが、ライバル会社に会員を奪われればダメージも大きい。ICカードをめぐる新たな競争が始まりそうだ。

清嶋直樹 nkiyoshi@nikkeibp.co.jp