新ツールで顧客抽出作業を迅速化
 静岡銀行は2003年度前半をメドに、顧客分析のための新しいデータ・マイニング・ツールを本格的に導入する。個人向け無担保ローンの顧客を効率よく開拓するのが狙いだ。

 新ツール導入に先立ち、静岡銀行は顧客データベース(MCIF:Marketing Customer Information File)を整備。ローンの審査情報など、社内のデータベースを次々に統合してきた。

 そのうえで、まず2002年6月に個人向けカードローンの顧客開拓で新ツールを試用。MCIFにある約340万の個人口座のうち、休眠口座や未成年者の口座などを除いた約140万口座を分析対象にした。

 年齢や預金残高、公共料金引き落とし契約数など多数あるデータ項目から、重要度の高いものをツールが自動的に選択。カードローンの顧客としての見込み度を点数化し、上位1割のなかから1万人を抽出してダイレクトメールを送った。

 事前にこの顧客層が全体の申し込み件数の66%をカバーすると予測。実際の申し込み状況を分析したところ、誤差はわずか数%だったため、ツールの実用性は高いと判断した。

 この精度自体は従来とほぼ同じだが、分析にかかる期間が約3週間から1週間程度に短縮できた。「新ツールでは、分析のためのプログラミングが不要。そのうえ重要なデータ項目も自動で発見してくれるため、試行錯誤が少なくて済み、個人のスキルに頼る部分が少なくなった」(大谷博文・個人部個人営業統括グループビジネスリーダー)。

 銀行は、企業向けの貸し付けを伸ばしにくい状況のなか、個人向けの貸し付けに力を入れている。この分野では、同じ静岡県が地盤のスルガ銀行のほか、消費者金融業者など異業種にもライバルが多い。やや出遅れた静岡銀行は、「やみくもに顧客数を追求するよりは、最小限のコストで効率よく顧客開拓する必要があった」(大谷ビジネスリーダー)ため、データベース・マーケティングに力を入れる。

 ツールには、アーバン・サイエンス・ジャパン(本社東京)の「GainSmarts」を採用する。顧客データベースなどは整備済みだったため、新たな投資は年間数百万円程度で済む見込みだ。

清嶋直樹 nkiyoshi@nikkeibp.co.jp