新規案件を逃さないように情報を共有
 国際航空貨物運輸大手の近鉄エクスプレスは、2月から輸出営業部門でSFA(セールス・フォース・オートメーション)システムを本格稼働させた。約200人いる営業担当者の活動状況をきめ細かく把握し、受注件数を増やすのが狙いである。投資額は約2億円。

 システム導入の背景に、価格競争力強化のため実施したコスト削減策がある。昨年4月に組織を改編。従来、営業担当者とともに各営業拠点に配置していた受注担当者を、営業拠点から切り離して貨物の集配拠点に集約した。受注担当者を約2割減らし、2カ所あった集配拠点を1カ所にしたことで、年間約1億円のコスト削減を見込む。

 ただし、営業担当者と受注担当者を離すことによる欠点もある。情報がうまく伝わらなければ、受注を逃したり、顧客満足度の低下を招く。こうした事態を防ぐために、SFAシステムを営業担当者と受注担当者の情報共有に活用する点が大きな特徴である。

 営業担当者は進行中の商談や提案事項などを、受注担当者は依頼やクレームなどをシステムに登録する。

 例えば、顧客は電話で注文する際、「中国に生産工場を移転する」といった、今後の事業計画を受注担当者に漏らすことがある。これが営業担当者に素早く伝わらなければ、競合他社に先を越されて受注を逃しかねない。

 実際、既存顧客から新規の案件を競合他社に奪われるケースが出てきていた。しかも、対顧客の売上高が上位10社に入る優良顧客でも起きており、組織改編によって、事態はますます悪くなると見られた。

 そこで、受注担当者が、顧客から聞いた情報をシステムに登録しておくことにより、営業担当者が提案のチャンスを逃さないようにした。

 逆のケースも深刻な課題となる。例えば、顧客から「先日営業のAさんが出してくれた見積金額を、もう少し下げてもらえないか」と言われた場合だ。受注担当者に情報が伝わっていなければ、スムーズに対応できずに顧客満足度を下げる要因になる。

 SFAシステムの大きな課題は、営業担当者に情報を入力させること。近鉄エクスプレスの場合、受注担当者と情報を共有することで、お互いに入力を促すようになると見ている。

相馬 隆宏 souma@nikkeibp.co.jp