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500店の販売情報を開示

「タッチワン」の画面例。商品の改廃や在庫状況を知らせて発注ミスを防ぐ
競合他社に先駆けてPOSレジを導入したセリアの店舗。リアルタイム方式の読み取り速度を不安視していたが、今のところ全く支障はないという

 POSデータを活用する場は社内だけにとどまらない。インターネットで取引先に開示し、原価の低減や品ぞろえの改善に役立てる。

 10月から、全509店の単品の販売実績を、取引先がウェブブラウザを使って、年齢別や時間帯別、地域別に分析できるようにする予定である。

 従来、取引先は正確な販売実績が分からないまま見込みで商品を生産するしかなかった。

 セリアや大創、キャンドゥに、竹や柳といった天然素材を使った雑貨を卸す林イマニティ(三重県伊勢市)の林豊専務はこう話す。「欠品に対して各社とも厳しく、ペナルティーを課せられる。そのため、どうしても在庫を多めに持つ傾向にあった」

 POSデータを活用して需要予測の精度を高めることができれば、取引先は過剰な在庫を抱えるリスクを減らせる。「在庫を削減できた分は、原価を下げて還元していく」(林専務)。POSシステムの導入で増えたコストは原価を低減することでも吸収する。

 さらにセリアは、自社の店舗をテスト販売にも活用してもらおうと考えている。詳細な販売実績を即座に得られる環境は、新商品の需要を予測するのに格好の場となる。セリアからすれば、自店で積極的にテスト販売を実施してもらうことによって、競合他店より早く新商品を販売できるため集客面で優位に立てる。

 「『新商品を出すなら、まずセリアから』と取引先から言われる状況にしたい」。岩間取締役はこう意気込む。

 特定の時期の需要が高い季節商品は、先に「売った者勝ち」になる。例えばレジャーマットは行楽シーズンによく売れるが、顧客は同じ物をいくつも買わないからだ。先行販売できるかどうかで大きく差がついてくる。

 田中副部長は「とにかく、(取引先とは)お互いにチャンスロスをなくしたい」と言う。ただし、すべての取引先に貴重な情報を提供するというわけではない。情報を開示する対象は、原価の引き下げに応じてくれるといった見返りを得られる企業に絞り込む方針である。

3割の定番商品で固定客つかむ

 セリアは今年1月、秋からのリアルタイムPOSの全店展開をにらみ商品政策を見直した。

 商品を、全店が必ず置かなければならない「基本商材」と、各店舗の裁量で自由に仕入れられる「自由裁量(商材)」の大きく2つに分けた。全社合計で約2万5000品目あるうち、約6000品目が基本商材だ。

 さらに、文具や台所用品、化粧用品といった商品カテゴリーも明確に定義した。一番細かい分類まで含めるとカテゴリーの数は400以上。カテゴリーごとに基本商材を設定することによって網羅性を高めている。

 どのカテゴリーの商品をどの程度置くかは、販売実績を基に決める。例えば、文具は商品全体の30%、台所用品は同20%といった具合だ。

 こうした枠組みを設けたのは、顧客ニーズが変化したからである。変化に合わせて品ぞろえを改善し、顧客の維持・拡大を狙う。

 100円ショップが登場したばかりのころは、「こんな物が100円で買えるの?」という物珍しさから商品を購入する顧客が多かった。だが、業態が消費者の生活にすっかり定着した現在は、乾電池や綿棒など最初から買う物を決めて来店する顧客が増えてきたのである。

 そこで、そうした「目的買い」の顧客がよく買う商品を基本商材に指定し、全店で常時取り扱うようにした。実際、倉庫からの出荷実績からすると、基本商材の売り上げが全体の約6割を占めると推測される。

 「100%自由裁量だった」(岩間取締役)という従来の品ぞろえでは、欠品を起こして目的買いの顧客の期待を裏切ることになりかねない。

 一方、自由裁量の商品は、新鮮な売り場を作るために欠かせない。各店舗は自店の顧客が好みそうな商品を仕入れる。「セリアに行けば何か新しい発見がある」という印象を顧客に持たせて来店を促すのである。

 枠組みを設けた効果は既に表れている。成績が低迷していた店舗が、予算費105%の売り上げを記録した。

相馬 隆宏