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デジタル方式によるテレビ放送のこと。デジタル技術によって電波の使用効率が上がるため、画質を向上したり、チャンネル数を増加させられる。さらに、文字や画像などのマルチメディア・データを高速に配信できるという特徴を併せ持つ。普及すれば、家庭のテレビがECに使えるネットワーク端末になるとして、期待を集めている。

 シドニー五輪において、柔道や陸上などの日本選手が大いに活躍したのは記憶に新しいところです。このときオリンピック需要を当て込んで、日本において新しい放送サービスが始まったのをご存じでしょうか。それが、放送衛星(BS)を使ったデジタル衛星放送です。正確には11月までは試験放送で、12月から本放送になる予定です。

 このデジタル衛星放送は、これまでのアナログ方式による衛星放送にない特徴を備えています。それはその名の通り、デジタル方式で映像や音声を送ることです。これにより電波の使用効率が上がり、画質の向上やチャンネル数の増加につながりました。

 しかし、注目すべきはむしろ別の点にあります。デジタル化したことで映像や音声と同時に、文字や画像などのマルチメディア・データを送れるようになったのです。例えばNHKは、シドニー五輪の中継で、試合の結果や日本選手のプロフィールを画像や文字データで“放送”しました。

 しかもデジタル衛星放送用の受信機(チューナー)は標準でモデムを備えており、電話回線につなぐことで双方向のデータ通信が可能になります。これによって家庭のテレビが、通信販売や金融サービスなどのEC(電子商取引)を実現するためのネットワーク端末に一変します。

◆事例
オンライン・バンキングなどサービスは多彩

 衛星デジタル放送では、様々なサービスが提供される見通しです。例えばさくら銀行は、東芝や三井物産などが出資するベンチャー企業のメディアサーブ(本社東京)と組んで、12月からオンライン・バンキングを始める予定です。さらに、日立製作所やキヤノン、NTTドコモなどが出資するデジタル・キャスト・インターナショナル(同)は、通信販売や興業チケットの予約などを手がける計画です。

 これらはすでにインターネットで実現されているものばかりですが、将来的にはデジタル放送ならではのサービスも始まる見通しです。例えば、番組の出演者が身につけている衣料品やアクセサリーをリモコンで注文できる物販サービスや、大容量の通信速度を生かした音楽のオンライン配信サービスなどです。

◆課題
普及しなければ画餅に

 デジタル放送における最大の問題は、受信機が普及するかどうかにあります。今年10月時点における受信機の実勢価格は10万円です。普及には大幅な価格の引き下げが不可欠でしょう。

 これからデジタル放送が乱立することも、普及に向けての気がかりな点です。2001年には新しい通信衛星(CS)を用いたデジタル放送が、2003年には地上波のデジタル放送が始まる計画です。すでに営業しているスカイパーフェクTVも含めて、すべてのデジタル放送が生き残るとは考えにくいため、消費者は慎重にならざるを得ません。同様に、EC事業者もどのデジタル放送を利用するかを慎重に選ぶ必要があるでしょう。

中山 秀夫 hnakayam@nikkeibp.co.jp