顧客の注文に応じて、機器を組み立てる生産方式。顧客が選定した仕様やデザインの商品を確実に提供できるため、顧客満足度の向上が期待できる。また注文後に生産を始めることになるので、売れ残りをなくすことが可能だ。インターネットが浸透したことを背景に、自動車業界や家電業界でも導入する企業が増えている。

 商品に対する顧客のニーズは多様化の一途をたどっています。すべての顧客が満足する商品を提供するためには、商品の色や素材を事前に注文してもらうのが確実な方法と言えます。このように事前に顧客の商品に対する要望を受け付けて、それを反映した商品を生産する手法をBTO(注文生産)と言います。紳士服小売り店におけるオーダーメードが、典型的なBTOです。

◆事例
自動車業界もBTOに乗り出す

 これまで自動車業界や家電業界では、オーダーメードの商品をほとんど提供していませんでした。これを実現するためには工場の生産体制を見直す必要があったことが、BTOの普及を妨げていた原因の1つです。

 しかし最近になって、こうした業界でも顧客の要望を商品に反映しようという動きが出始めています。マツダはロードスターなど3車種を対象に、2001年1月下旬からホームページ上でオーダーメードの自動車の注文を受け付けます。消費者はマツダのウェブ・サイトから、自動車の塗装色やエンジンの排気量、座席シートなどを指定。マツダはその情報を元に部品を選び、組み立てを開始します。

 これまで顧客はメーカー側があらかじめ組み合わせを設定した塗装色やエンジンのなかから製品を選択するしかありませんでした。しかし、今回のBTOの導入によって、顧客の選択肢は以前よりも増えます。

 パソコン業界ではBTOが既に定着しています。この業界でいち早くBTOに乗り出したのは米デルコンピュータです。同社はウェブ・サイトで注文を受けた仕様のパソコンを製造して、消費者に直接販売するビジネスモデルを他社に先駆けて確立。現在では出荷台数が世界第2位のパソコンメーカーに成長しています。

◆効果
メーカーの生産効率が向上

 これまでメーカーは市場調査を元に商品を開発して、過去の販売実績から生産量を決めていました。しかしこのやり方では、事前に商品に対する需要を正確に把握できないため、どうしても売れ残りが発生していました。メーカーが用意する商品のバリエーションでは、すべての顧客のニーズに対応することも不可能です。

 BTOを導入すれば、顧客それぞれの要望に合った商品を確実に提供できます。それに加えて、先に注文を受けることで商品の需要を正確に把握できるため、売れ残りをなくすことができます。

 インターネットが浸透した現在、メーカーはホームページ上で顧客からの注文を担当部署で直接受け付けて、商品の納期を短縮することができます。インターネットによって、メーカーと顧客が直接情報をやり取りできるようになったことが、BTOを普及させる原動力になっています。

長谷川 博 hhasegaw@nikkeibp.co.jp