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顧客の要望や属性に基づいて、適切な商品を薦めること。現実の店舗では店員がその役割を果たしているが、ネット販売においてはそれを代替する仕組みが必要になる。そこで、特定の商品と相性の良い商品を提示したり、顧客の趣味・し好などの情報に基づいて商品を選ぶシステムの導入が進んでいる。

 「このチーズと相性の良いワインはどれでしょう」、「いやし系の音楽CDでお薦めはありませんか」。そんな具合に、店員に商品選びを相談したことはありませんか。

 親切な店員なら、あなた自身のことについて詳しく尋ねてくるはずです。予算はもちろん、趣味、し好、ブランドへのこだわり、同じジャンルの商品で最近買ったものは何かなど。そして、そうした情報に基づいて、適切な商品を選んでくれるでしょう。

 このように顧客の要望や好みなどに基づいて商品を選び出すサービスは、店舗では当たり前です。しかし店員が存在しないネット販売では、それは不可能というもの。大多数の販売サイトでは、売れ筋商品のリストや商品の紹介文、商品の検索機能などを提供するにとどまっており、顧客は自ら商品を選ぶ必要があります。

 これでは、品ぞろえが豊富であるというネット販売の利点を最大限に発揮できません。

◆技術
相性の良い商品を自動的に選び出す

 そこで利用され始めたのが、システムによって自動的に商品を推薦(レコメンデーション)する機能です。そのためのツールは、一般にレコメンデーション・エンジンと呼ばれます。

 一口にレコメンデーションといっても、その仕組みは様々です。最も普及が進んでいるのは、協調フィルタリングという手法です。音楽CDショップを例に説明しましょう。まずあらかじめ多数の顧客に、聴いたことのある曲とその評価を何段階かで入力してもらいます。次に、ある顧客が曲の推薦を求めてきたら、その顧客と同じようなし好を持つ別の顧客を複数人選び出します。つまり似た者同士のグループを作るわけです。そしてそのなかで人気のある曲をリストアップし、その顧客がまだ聴いたことがない曲を提示します。これにより、商品の購入につなげるわけです。

 一方、ある商品に対して相性の良い商品を選ぶタイプのレコメンデーションも始まっています。例えば釣り具とアウトドア用品販売のナチュラム(本社大阪市)は、顧客がウェブ・サイトで釣り竿を指定すると、相性の良いリールを表示するといったサービスを提供しています。道具同士の相性は、実店舗の売り場責任者が1つずつ入力しました。

◆効果
販促にも利用できる

 こうしたレコメンデーションの用途は、顧客の要求に基づいて商品を提案することにとどまりません。顧客ごとにお薦め商品を選んでウェブ・サイトの画面やメールによって提示すれば、販促の効果も期待できます。

 実際にアスクルは、協調フィルタリングの手法を用いて顧客ごとに訴求する商品を選んで注文画面に表示し、受注増につなげています。

中山 秀夫 hnakayam@nikkeibp.co.jp