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顧客に関する様々な情報を蓄積・管理するシステム。氏名や住所、取引履歴などのほか、クレームや要望といった定性情報も蓄積する。これらを分析用ツールで分析して販促に活用したり、店舗やコールセンターといった顧客対応チャネルにフィードバックすることで、顧客サービスを向上させる。

 最近、業種や業界を問わず注目を集めているキーワードにCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)があります。これは顧客1人ひとりに合ったサービスを提供することで取引を維持・拡大させるという概念ですが、口で言うほど簡単ではありません。CRMの実践には「顧客を知る」ことが大前提になりますが、そのためには顧客データベースを十分に整備しなければならないからです。

 たとえば、あなたが銀行の営業店の窓口担当者で、初めて見る顧客が来店したとしましょう。あなたにとっては初めてでも、銀行にとっては大切な顧客かもしれません。その顧客に適したサービスを提供するには、その顧客が誰で、過去にどんな取引をしていて、自社に何を求めているのかといった情報が必要です。顧客データベースは、CRMを目指す企業にとって最も重要な経営資源の1つでしょう。

◆課題
顧客データベースに完成はない

 「顧客データベースなら、当社でも構築済み」という読者がいるかもしれません。ところが、真に有効活用できる顧客データベースを持つ企業は、実はそれほど多くありません。顧客データベースは「これで完成」ということがなく、常に検証・更新して精度を高めていかなければ「使える顧客データベース」にはならないからです。

 顧客の嗜好やニーズを見抜くには、様々なダイレクト・メールや販促キャンペーンへの反応率を分析したいところです。それには試行錯誤的な販促キャンペーンを積極的に実施して、結果をデータベースに反映する必要があります。

 訪問履歴やクレームなどの定性情報については、コールセンターや店舗、営業担当者が顧客に対応するなかで得た情報を、逐一データベースに入力しなければなりません。これは現場の社員の意識改革なしにはできないことで、顧客データベース構築の難しさはここにもあります。

◆事例
チャネルごとの情報を統合する必要も

 最近は、コールセンターやインターネットなどのように販売チャネルが多様化しています。これらの新チャネルで獲得した顧客情報と、既存の顧客データベースとを統合する必要も出てきました。

 地銀中位のスルガ銀行は99年8月、統合顧客データベースを構築しました。それまでは勘定系システムや営業店向け顧客データベース、コールセンターのデータベースと、顧客の情報が分散していました。これらをCRMデータベースに一元化し、営業店を含めて社内のどこからでも閲覧できる体制にしたのです。

 営業店では顧客との会話から得られた情報、たとえば他の金融機関の利用状況などをデータベースに直接入力し、顧客情報の価値向上に努めています。この結果、顧客1人当たりの取引額がアップするなど、顧客データベース活用の成果が明らかに出ているそうです。

花澤裕二 hanazawa@nikkeibp.co.jp