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ソフトウエアを開発する組織における品質管理基準。日本語では「能力成熟度モデル」と訳される。組織全体のソフト開発能力を5段階で評価する指標である。米国防総省の委託によって、米カーネギーメロン大学が開発。システム開発委託時の入札条件などに利用される。国内でも経済産業省が「日本版CMM」を策定中。

 システム開発を委託した業者が納期を守れなかったうえに、予算もオーバーした——。IT(情報技術)業界では、古くから聞かれる嘆きです。

 CMM(能力成熟度モデル)は、このような問題を解決するために開発された指標です。ソフトウエアを開発する組織(開発会社や利用企業)に対して、ソフトウエアの開発能力を5つのレベルで評価する指標です。レべルが上がるのに伴って、ソフトウエア開発の進ちょく状況の把握が確実になり、納期が守れる可能性が高くなります。

◆効果
ソフト開発能力を判断する指標に

 CMMはもともと、米国防総省が軍のシステム開発の委託で利用するために、米カーネギーメロン大学ソフトウエア工学研究所(SEI)に要請して開発したものです。SEIが資格を授与する「リード・アセッサー(主任評価者)」が、ソフトウエアを開発する組織の品質管理能力を5段階で評価します。

 レベル1は、ソフト開発のプロセスが属人的で組織として管理していない「初期」状態。レベル2は、基本的なプロジェクト管理を実施している「反復可能」状態。レベル3は、開発プロセスが組織内で標準化された「定義」状態。この「定義」状態を確実に実践している「管理」状態がレベル4。「管理」状態に対して、自発的にプロセスの改善などを実施するのがレベル5の「最適化」状態と規定されています。

 米国では、CMMが軍や政府への入札要件ともなるため、認定を受ける開発業者が多くなっています。一般の企業も、CMMの評価によってソフト開発会社の能力を判断しやすい状況ができあがっています。

◆現状
経済産業省が日本版CMMを策定へ

 一方、日本でも経済産業省が「日本版CMM」の策定に乗り出しています。今年1月に「ソフトウェア開発・調達プロセス改善協議会」を設立。6月16日に、日本版CMMの「中間整理案」を公表しました。

 2002年度にも政府や官公庁のシステム開発委託における入札要件に日本版CMMを採用する計画です。政府が打ち出した電子政府プロジェクトの入札要件にも盛り込まれる予定です。

 このため、システム開発会社の多くが日本版CMMの認定を受ける準備を進めています。CMMの認定を受けていないと今後、政府や官公庁における情報システム開発の入札に参加できなくなる可能性が高いからです。

 国際基準とは別に「日本版」がなぜ必要なのかという批判はあるものの、日本版CMMは利用企業にとって大きなメリットとなるでしょう。これまで、まったくのブラックボックスであった開発会社の能力が第三者の目で評価されることになるからです。

吉川和宏 kyoshika@nikkeibp.co.jp