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個人情報を取り扱ううえでのルールを決めて、国民の利益の侵害を防止することを目的にした法律案。民間・行政にかかわらず、個人情報を扱うすべてのものが守るべき基本原則や罰則規定を設けている。今年3月に閣議決定され、通常国会に提出されたが、現在は継続審議になっている。表現の自由を侵害しかねないという指摘もある。

 怪しげな会社からダイレクトメールが頻繁に届く、全く興味がない商品を勧誘するしつこい電話がかかってくる——。こうした経験がある人は、自分自身の情報が知らぬ間に第三者に利用されていることを疑ったほうがいいかもしれません。

 個人のプライバシーをめぐる事件が相次いでいます。電話会社やクレジットカード会社の社員が個人情報を社外に持ち出して第三者に売却したり、個人情報を基にした嫌がらせなどが後を絶ちません。

 ところが、日本では行政機関を対象にした個人情報保護に関する法律はありましたが、民間企業の持つ個人情報に対する規制は存在しませんでした。

 そのために社員が会社から個人情報を勝手に持ち出した際には、業務上横領などが適用され、有罪になっています。

 そこで、個人情報そのものを保護の対象にしようというのが、個人情報保護法案です。今年3月に通常国会に提出され、現在は継続審議になっています。次期国会で法案が成立すれば2年以内で施行される予定です。

◆効果
事業者が守るべきルールを規定

 この法案では、個人情報を「生存する個人に関し、特定の個人を識別できるもの」と定義しています。具体的には氏名や住所、生年月日ばかりでなく、身体的特徴や財産、社会的地位、評価などが含まれます。

 こうした個人情報を扱う際には、(1)利用目的による制限、(2)適正な取得、(3)正確性の確保、(4)安全性の確保、(5)透明性の確保という、5つの基本原則が求められています。

 そのうえで個人情報を蓄積したデータベースをビジネスに利用する事業者には、個人情報を取得する際の利用目的の通知や第三者への提供の制限、本人からの開示要求への対応といった義務を課しているのが特徴です。これに違反した場合の罰則規定も設けています。

 個人から見ればプライバシーが守られ、企業に要求すれば自分自身に関するどのような情報が蓄積されているのかを確認できるようになります。

◆課題
表現の自由を侵す?

 企業にとっては個人情報を集める際にあらかじめ利用目的を明らかにしたり、社内における情報の管理方法を見直すなど、運用ルールをより明確にする必要があります。

 しかも法律ができたとしても、社員にそれを順守させる体制を整えなければ、個人情報をめぐる問題を未然に防ぐことが難しいのは言うまでもないでしょう。

 一方、この法案は報道における取材源の秘匿などに影響を与え、憲法で保障されている表現の自由を侵害しかねないという指摘があります。そのために、法案の成立に反対する動きが起きています。

神保重紀 sjin@nikkeibp.co.jp