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国際貿易において、貨物の所有権を証明する船荷証券をはじめとする膨大な書類を電子化して、企業間でやり取りすること。グローバルな資材調達で欠かせない仕組みとなる。企業間で貨物の内容や到着日といった情報をリアルタイムに把握できるようにすることで支払い業務も素早く行える。

 日本企業にとって、グローバルな資材調達や生産拠点の海外移転など、貿易にかかわる機会は増えています。多くの企業はEDI(電子データ交換)システムと業務システムを連携し、迅速にデータを処理する仕組み作りを急いでいます。ところが、貿易取引の部分だけは旧来どおり、船荷証券や請求書、貨物に付随する様々な証明書類を紙ベースでやり取りしてきました。EC(電子商取引)時代の今、従来のように手作業に頼っている限り、サプライチェーン・マネジメントやグローバルな資金管理によるスピード経営は望めません。そこで始まったのが貿易EDIです。

◆効果
貿易書類の処理が即日で完了

 貿易EDIは、94年に欧州委員会主導で実験的に始まり、98年に銀行間決済の国際通信網を提供するSWIFT(本部ベルギー)と、コンテナ輸送関連の保険会社であるTT CLUB(本部バミューダ)との合弁会社であるボレロ(本部イギリス)がこれを引き継ぎました。

 現在、ボレロの貿易EDIシステムには日米欧の主要な海運会社や金融機関、保険会社、商社などが参加。日本企業では、昨年12月にUCC上島珈琲が、7月には新日本製鉄が海外との資材調達取引でボレロによる貿易書類の電子化に取り組み始めました。

 船荷証券をはじめ、企業間でやり取りする文書をXML(拡張可能な記述言語)で共通化し、文書データは電子認証を与えてセキュリティを確保したうえでインターネットで交換します。こうして従来は10日~1カ月かかっていた書類の確認などの事務作業が1~2日で済み、支払いに至るまでの業務を大幅に効率化でき、コスト削減にもつながります。

◆課題
ボレロとTEDIの2方式が併存

 貿易EDIの普及には、大きく2つの課題があります。1つは導入によるメリットを生むための社内業務の改革です。せっかく貿易EDIシステムを導入しても取引企業間の業務システムが継ぎはぎだらけであれば、業務処理の短縮効果は実現できません。そのため、社内における業務ワークフローのペーパーレス化を同時に進める必要があります。

 もう1つの課題は標準化です。業界ごとに必要な書類を共通化する作業は欠かせません。標準化という意味では、複数の貿易EDIシステムが存在することも課題です。

 国内では、97年に始まったTEDI(旧EDEN)システムがあります。9月から運用が始まるTEDIは、貿易書類の国内企業間でのやり取りに力点を置いています。

 ボレロは海外における貿易EDIの事実上の標準となりつつありますが、TEDIとの互換性はありません。こうした複数方式の併存も普及の阻害要因になるため、早期に相互接続できる仕組みを用意するか、1つの方式に絞ることが望まれます。

三田真美 mmita@nikkeibp.co.jp