PR

行政組織をまたがった手続きや情報収集などが1カ所でできるような、行政サービスへの総合窓口サイト。海外ではすでに多くの事例がある。インターネット上で必要な手続きを済ませられるため、住民サービスの向上が期待される。日本でも2003年の電子政府・自治体の始動に向けて準備が進んでいる。

 念願のマンションを購入して新居に引っ越したA氏。1年近く経ったある日、A氏のもとに「自動車税滞納のため追徴分を支払ってください」という通知が届きました。

 憤慨したA氏が確認すると、自動車税の請求が旧住所あてに届いていたため未払いになっていたというのです。住民票を移す際に様々な手続きに追われたA氏ですが、自動車税のことはうっかり忘れていました。住民票を管轄する区と、自動車税を管轄する都の間に連絡はなく、住民が個別に手続きをしなくてはなりません。「せめて、引っ越しの際に必要な手続きが漏れなく分かるようなホームページは作れないのか」。追徴分を支払ったA氏は納得できません。

 もちろん、そうしたホームページは可能です。海外の政府や自治体では、そうしたサイトをすでに提供しているところも数多くあります。このように、行政サービスの手続きや情報照会が「ワンストップ」(1カ所)で可能なホームページを行政ポータルと呼んでいます。

◆効果
行政の枠を超えて必要情報を提供

 有名なところでは米国政府のFirst Gov(http://www.firstgov.gov/)があります。行政機関のホームページというと「総務省」「東京都」など組織ごとに作られていることが多いのですが、First Govは利用者のニーズに応じて検索しやすく作られているのが特徴です。

 例えばキーワード検索で「address change」と入力してみると、住所変更に関連する様々な手続きのリンクが一覧できます。自治体への届け出、郵便局への届け出、運転免許や様々な事業免許の内容の変更、各種税金に関連する変更など、かなりの手続きがネット上で可能です。ほかにも補助金に関するポータルサイトのように、複数の行政機関をまたがった手続きや情報照会が可能なサイトなど、利用者にとって便利な環境が整備されつつあります。

◆課題
使いやすさ向上へ外部ノウハウを利用

 日本でも政府や自治体の多くがポータルサイトを開設していますが、まだ住民のニーズにワンストップでこたえられるところまでは行きません。インターネット上でできる手続きもまだごく一部です。ただ、電子政府プロジェクトでは2003年までにすべての行政手続きを電子化するという目標を掲げており、2~3年で事情は急速に変わるでしょう。

 本当に使いやすい行政ポータルの実現のためには、行政機関のなかだけで対応しても限界があります。外部のノウハウや技術を積極的に取り入れる必要があるでしょう。実際、First Govやオーストラリアのビクトリア州などは、行政ポータルの開発・運営を非営利団体や民間企業に委託しています。日本の行政機関でもコスト・パフォーマンス追求のためには思い切った施策を行う必要がありそうです。

秋山 知子 takiyama@nikkeibp.co.jp