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優れた業績を上げている他社事例を指標として、業務変革の計画、実行、評価を進めること。70年代末、米ゼロックスにおける取り組みが最初と言われる。80年代から90年代にかけて米GE(ゼネラル・エレクトリック)、ヒューレット・パッカードなど多くの企業が取り入れ、リエンジニアリング(業務の抜本的な改革)に成功した。

 景気の先行き感が一段と悪化し、業績を下方修正する企業が増えています。しかしそんななかでも見渡せば、業績を伸ばしている企業が必ずあるものです。同じ業界だけではなく異業種にも目を向ければそれこそ、逆風下でも元気な企業はいくらでも見つかります。

 業績低迷を環境のせいにし、「経費一律10%削減」といった対策ばかりとっていては現状打開にはつながりません。優れた他社の実践事例(ベストプラクティス)に学び、自社のプロセス変革につなげる「ベンチマーキング」が今ほど重要なときはありません。

◆効果
全社的な目標が明確に

 「優れた他社事例に学ぶと言っても、しょせんは物まねではないか」という見方もあるでしょうが、「物まね」はベンチマーキングとは別のものです。もし同業他社のやっていることをこっそり探り、そっくり同じことをやろうとすればそれは「産業スパイ」になりかねません。

 ベンチマーキングの第一段階は、「What(何)」を明確にすることから始まります。他社の強みの源泉となっている業務プロセスを明らかにし、自社のプロセスと比較し、そこから何を学べるのかを検討します。従って、ベストプラクティスは同業種での事例とは限りません。例えば、ベンチマーキングを最初に実施した米ゼロックスは、倉庫業務のベストプラクティスとしてアウトドア用品小売業者のL.L.ビーンに学んでいます。

 「他社から学ぶ」手段としては、公開文書やウェブなど、一般に手に入る情報だけではありません。直接、相手の会社を訪問して担当者にインタビューするという方法も多く行われています。その際、自社の経営トップから直接相手の経営トップに申し込み、こちらの業務プロセスについても必要に応じて開示するといった姿勢を示せば、双方にとってよりオープンな、実りの多いものになります。

 ベンチマーキングに取り組む過程で、自社のビジネスの方向性に関する明確なビジョンが定まってくることが第一のメリットです。さらに、様々なパフォーマンスに関する指標が定量的な目標値として得られるため、取り組み結果の評価がしやすくなることも大きな利点です。

◆事例
ウォルマートに学んだGE

 80年代に低迷していた米国企業が90年代に復活したのは、日本企業を徹底的にベンチマーキングしたことが大きいとよく言われています。

 ベンチマーキングへの精力的な取り組みで知られるのがGEです。例えば同社は市場情報を迅速に集めるために米ウォルマートの手法をベンチマーキングしたと言います。日本の例では、ソニー生命保険がビジネスを展開していく際、米国の中堅生保会社であるノースウエスタン生命をベンチマーキングしたことを明らかにしています。

秋山 知子 takiyama@nikkeibp.co.jp