法令順守と訳す。不正行為を防ぎ、社会通念や常識を守ること。相次ぐ企業の不祥事を受けて、内部告発を奨励する社会的な制度作りも議論されている。

 企業の不祥事が後を絶ちません。雪印グループからユニバーサル・スタジオ・ジャパン、日本ハム、三井物産、東京電力、日本信販——。ここ1~2年は特に大きな事件が多い気がします。

 そのたびに当該企業の責任者からは「『コンプライアンス』体制を整備して、このような不祥事が二度と起きないようにする」といったコメントを聞きます。

 コンプライアンスとは「法令順守」の意味ですが、もちろん法律だけでなく社会常識や倫理観に反するような行為をしないということです。

◆効果
企業価値を高める

 「組織ぐるみの悪質な不正」と人々に認識された途端、企業の存続にかかわるほどの社会的制裁を受ける時代です。コンプライアンス精神を社内に根付かせることは、最も重要な経営課題でしょう。

 これは単なる「守り」の取り組みではありません。社会的責任投資(SRI:ソーシャリー・レスポンシブル・インベストメント)という言葉をご存じでしょうか。

 高い企業倫理を持ち、コンプライアンス面でも適正な経営で社会的責任を果たしている企業を、投資という形で応援しようという考え方です。米国では広く浸透し、日本でも認知されてきました。つまり、コンプライアンスを徹底させることは広く投資を集め、企業価値を高めることにもつながるのです。

 コンプライアンス経営を実現するには、「コンプライアンス担当組織の強化」「従業員に分かりやすい行動指針の制定」など、やるべきことがたくさんあります。なかでも最近、多くの企業が注目しているのが社内通報制度です。

◆事例
“外部の目”を取り入れる

 これは、従業員が違法行為を発見したり強制させられそうなときに、社内の担当部門に相談や通報ができる制度です。通報を受けたら調査を実施し、問題があればやめさせて、企業内で自浄作用を働かせるのです。

 内閣府の調査によれば、一部上場企業の4割がすでに整備しており、今後整備を検討する企業も5割を超えます。

 ただし、通報には社員の勇気が要りますから、単に制度を作っただけではなかなか機能しません。実効性を持たせるには、通報者の保護(報復行為の禁止)や調査権限の強化、第三者による“外部の目”の導入など様々な工夫が欠かせません。

 雪印乳業は、社外の人材5人を含む企業倫理委員会にすべての通報案件と対応策を報告し、調査・対応が不十分と判断されれば再調査を行っています。「社内の常識」に安住していては、コンプライアンスを徹底できないと考えたからです。

花澤 裕二 hanazawa@nikkeibp.co.jp