教育の効果や効率を高めるための方法論。1980年代半ばから、米国で広く浸透した。社員教育の成果を業績に結び付けたい企業を中心に注目が高まっている。

 企業の人事部門や教育サービス業者で、「インストラクショナルデザイン」への注目が高まっています。教育効果を高めつつ効率的に教育を実施するための方法論で、一言で表せば、「PDCA(計画−実行−検証−行動)サイクル」を教育の分野で徹底させるという手法です。

 注目を浴びている背景には、社員教育の費用対効果を見直そうという動きがあります。eラーニングの普及によって、集合研修にかかるコストを削減する企業が増える一方で、新たな課題が浮かび上がってきたのです。

 この課題とは、研修を実施しても業績になかなか結び付かないということです。eラーニングを推進する先進学習基盤協議会の調査によると、eラーニングを導入して社員個人や組織の業績が向上したと答えた企業は、コスト削減効果があったという企業の6分の1程度しかいませんでした。

◆効果
指導内容を体系化

 インストラクショナルデザインの最大の特徴は、「企業や学習者のニーズ調査」「任務や教育方法の分析」「教育カリキュラムの設計」といったプロセスに従って、体系的に教育を実施することに加えて、効果を検証する点にあります。

 社員教育は本来、将来の収益を生み出すための投資です。ところが、経営戦略上、どれだけ有益な人材を育てることができたかといった効果を把握できている企業は少ないのが実情でしょう。研修の受講者数を管理するだけにとどまるなど、効果測定はあいまいなままです。

 インストラクショナルデザインでは、各段階で成果目標と達成期間を具体的に設定するため、肝心な効果測定が抜け落ちるのを防げます。職務の内容や必要な行動特性を明確にしたうえで教育カリキュラムを設計することによって、異なる研修の間で指導内容が重複したり矛盾するといった無駄を減らして教育を効率化します。

◆事例
競争力の源泉に

 日本マクドナルドは2000年ごろから、インストラクショナルデザインを取り入れています。人材開発を強化し、競争力につなげる狙いです。既に、アルバイトの離職率低減や顧客満足度の向上といった効果が表れ始めています。

 昨年は、インストラクショナルデザインに基づいて、eラーニングを活用した教育システム「e-トレーニングナビゲーター」を開発。店員の教育時間を従来よりも10時間削減しました。インストラクショナルデザインを導入する以前は、指導内容を職位別に複数ある教育コースごとにバラバラに決める傾向にあり、非効率だったのです。

相馬 隆宏 souma@nikkeibp.co.jp