顧客の購買動向を基点にして、商品の供給体制を整備すること。顧客が欲しい商品を欲しいときに欲しい数量だけ用意し、在庫や欠品を減らすのが目的。

 最近、多くの経営者が「顧客基点」という言葉を口にしています。今までのように企業側の論理で商品を作って売り込んでいくのではなく、顧客が欲しい商品を欲しいタイミングに、欲しい数量だけ市場に提供して顧客満足度を高め、最終的に購買につなげてもらおうという考え方です。顧客が商品を買いたいときに店頭で品切れしているようでは、顧客基点の経営をしているとは言えないでしょう。

 ここ数年、多くのメーカーが資材の調達から商品の販売、生産、配送などにかかわるモノと情報の流れを整理するサプライチェーン・マネジメント(SCM)に取り組んできました。SCMにも顧客基点の考えが含まれていますが、メーカー主導で始まることが多いSCMは、どうしてもメーカーの業務の効率化が発想の原点になりがちです。

 そこでSCMの改革の出発点をメーカー側ではなく顧客側に置き、あらためて商品の供給体制を見直す動きが出てきました。それが「デマンドチェーン・マネジメント(DCM)」なのです。

◆効果
POSデータで顧客動向をつかむ

 商品を顧客に販売するのは、顧客と直接対峙する小売店の役割です。企業が顧客基点の発想で行動しようと思えば、顧客動向を細かく観察できる小売店の協力が欠かせません。

 顧客動向を理解するための最初の手がかりになるのが、顧客がいつ何を購入したのかを記録したPOS(販売時点情報管理)データです。このPOSデータを持っているのは小売店です。

 これまで小売店はPOSデータを他社に公開したがりませんでした。しかし、最近は一部の小売店がPOSデータの公開に踏み切っています。そのほうが顧客にメリットが多いと判断する経営者が増えてきたからです。顧客に選ばれれば、結果的に小売店とメーカーの双方もメリットを享受できるわけです。

 メーカーはPOSデータを分析して顧客動向を把握し、顧客がいま欲しがっている商品を必要な数量だけ生産。小売店にタイミングよく供給します。これで店頭での品切れを防ぐと同時に、作り過ぎによる在庫の増加を防ぐわけです。

◆事例
POSデータを開示する

 ファミリーマートは昨年11月に「DCMシステム」を稼働させました。主要メーカー35社に6000店を超える店舗のPOSデータや在庫データを提供するためです。ファミリーマートは店舗の品ぞろえを充実させるために自らDCMを仕掛け、メーカーにPOSデータや在庫データを提供することを思いつきました。これで商品の品切れや過剰在庫を防ごうと考えたわけです。

(川又 英紀)