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社員1人ひとりの「行動特性」や「業務の遂行能力」のことで、成果主義など新しい人事制度に伴う評価基準の1つとして注目される。これを利用して、業務内容や役職に応じて企業が社員に期待する「あるべき姿」と各社員の実際の行動を比較し、社員の正確な評価につなげるほか、不足している能力を見極めて人材開発にも役立てる

 「他の社員より一生懸命に働いているのに、何で給料が上がらないんだ」「アイツの業績がトップなのは、偶然に大口の注文を得たためで本当の実力じゃない」—。人事の季節になれば、全国の居酒屋で毎日のようにこんな会話(ぐち?)が多くのビジネスマンから聞こえてきそうです。

 人事評価ほど難しいものはないでしょう。社員の本当の実力をどうやって見極めるか、どこに評価基準を置くか、などは企業にとって永遠の課題かも知れません。日本企業の伝統的な人事制度と言われる「年功序列」や「終身雇用」が崩れ、欧米流の成果主義が台頭する時代ではなおさらです。個人の評価がそのまま給与の金額に結び付くだけに、あいまいな評価基準のままで成果主義に移行すれば、社員の反発やモラールダウンを招く恐れがあるでしょう。

◆効果
行動特性を人材開発にも役立てる

 そこで最近、注目されている評価基準が、「コンピテンシー」です。これは社員1人ひとりの「行動特性」や「業務の遂行能力」を意味しています。つまり、「ある成果を生むためにどんな行動をとったか」を社員ごとに分析することで、業務内容や役職に応じて企業が社員に期待する「あるべき人材の姿」と比較し、社員の正確な評価につなげるというものです。

 加えて、コンピテンシーを評価基準にすれば、誰にどんな能力が不足しているかも把握できるため、人材開発にも役立つという利点があります。

 営業部員の場合、一般的には販売実績などを評価基準として採用する企業がほとんでしょう。しかし、これでは結果だけしかわかりません。コンピテンシーを利用すれば、「なぜそうなったのか」といった営業活動のプロセスも追求できますから、より具体的な人材開発に結び付くのです。

 各社員のコンピテンシーをデータベース化し、各職務ごとに求められるコンピテンシーと比較できるようにすれば、人材の最適配置も可能になるでしょう。実際に多くの企業が社員のコンピテンシーをデータベース化しようと狙っています。

◆事例
評価の項目や結果をオープンに

 例えば、コンピテンシーを利用している武田薬品工業の場合、各職務に共通する項目として「職務知識」や「問題解決」「折衝の内容や程度」など6つの評価項目を策定し、各項目ごとに6段階のレベルを決めています。レベルは営業や開発など、各職務ごとに分類されており、各社員は上司と面談しながら評価項目をチェックしていき、報酬にも反映させます。

 その際、評価の項目や結果を各社員に公開して、社員が自分の評価を納得できるようにしました。こうしたオープンな姿勢がなければ、効果的な人材育成にはつながらないと、武田薬品は見ています。

 現在は幹部社員を中心にコンピテンシーをデータベース化しており、今後は全社員を対象にデータを蓄積していく考えです。

大山 繁樹 ohyama@nikkeibp.co.jp