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インテルといえば,パソコン用のCPUがまず頭に浮かぶ。しかし最近は,インターネットを中心に据えた戦略にシフトをしつつある。「パソコン部品の提供会社」ではなく,「インターネット部品の提供会社」になるためである。次世代CPUやネットワーク・プロセッサ,インターネット専用機器,ベンチャー投資など6分野で積極的な動きを見せ始めた。

 パソコンからインターネットへ,米インテルが戦略をシフトさせている。今年の2月に米パーム・スプリングス市で開催した開発者向け会議「インテル・デベロッパ・フォーラム」(IDF)では,インターネットを重点テーマに据えた。同会議でキーノートを行ったアンディ・グローブ会長は,検索サービス会社,米グーグルの最高責任者ラリー・ペイジ氏を伴って壇上に登った(写真1[拡大表示])。グーグルはインテルCPUとLinuxを載せた2300台のコンピュータで検索サービスを提供している。こうした新しいインターネット・ビジネスを推進したい考えだ。

写真1 米インテル会長のアンディ・グローブ氏(左)とインターネット検索会社,米グーグルの最高責任者ラリー・ペイジ氏(右)
「インターネットのすべてをRAMに入れたい」(ペイジ氏)。
 インテルはインターネットに関して6分野で活動をしている。同社の半導体向けにインターネット・アプリケーションを最適化すること,「インターネット・エクスチェンジ・アーキテクチャ」(IXA)の推進と製品開発,インテル・ブランドでのインフラ向け/消費者向けインターネット専用機(アプライアンス)の開発,インターネット・ホスティング・サービス,インターネット・ビジネスへの投資である(図1[拡大表示])。

 ねらいは,同社の半導体とインターネット上のアプリケーションや技術との関係を強めること。自社ブランドのインターネット専用機によって,パソコンでは実現できなかった同社のブランドを見える形にする意味もある。インターネット関連サービスや新ビジネスへの投資によって,既存ビジネスを支えながら新しい収入源を開拓するという意図もある。

CPUもインターネットを意識

図1 米インテルのインターネット戦略
インテルは「インターネット部品を提供する会社」になりたいと主張している。そのために,インターネットを中心に6つの分野に注力している。
 インテルのデスクトップ製品グループ担当副社長パット・ゲルジンガ氏はIDFで,米ジフ・デイビスのテスト・プログラム「i-Bench」を使い,CPUごとにWebページの処理速度を公開した。800MHz動作のペンティアムは500MHz動作のセレロンよりもテキスト・ベースのWebページの処理が91%速く,XML/CSS(拡張可能マークアップ言語/カスケーディング・スタイルシート)の処理は2倍以上速い。このようにユーザーが性能を気にするほど高速CPUへのニーズが高まる。

 インテルは同社の半導体をインターネット・アプリケーションに最適化する作業を進めている。今年出荷する64ビットCPU(IA-64アーキテクチャ)には暗号アルゴリズムの高速処理機能を含める。Javaやストリーミング・メディアを高速化する機能も取り入れる。暗号処理を高速化するチップセットも開発しており,今年1月に同チップセットを載せたLANアダプタを発表した。ネットワーク通信事業部担当副社長のマーク・クリステンセン氏は同アダプタを使うことで,ビデオの暗号処理にかかるCPUの利用率を70%から30%に低下させるデモを見せた。

IXAベースの機器が登場

写真2 IXP1200を載せたボード
8個の仮想ルーターを同時に起動している。
 99年9月に発表したIXAは順調に進んでいるようだ。IXAは,インテルが買収した米レベルワン・コミュニケーションズのIXP1200ネットワーク・プロセッサとAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)をベースとしたネットワーク・アプリケーションの開発環境である。

 今回のIDFでは,同プロセッサを載せたPA100ボードを使って,カナダのノーテル・ネットワークスが仮想ルーターを開発,展示した(写真2[拡大表示])。ボード上で8個の仮想ルーターが動作する。米セキュア・コンピューティングはPA100で動作するファイアウォールを開発した。米ルーセント・テクノロジーやスウェーデンのエリクソン,フィンランドのノキアなどもIXA開発会社のフォーラムに加わった。

 99年9月にインテルはIXA関連技術・製品を開発する企業に向けた2億ドルのファンドを設立した。今回のIDFでは,IXA研究のために大学にも資金提供することを発表した。パソコン用CPUと同じように,ネットワーク向けCPUでも成功できるか注目したい。

アプライアンスを揃える

 インテルは自社ブランドで,インターネット・アプライアンスを開発している。一般消費者向きのアプライアンスとしては,すでにインターネット接続可能なテレビ用のセットップ・ボックスやWebアプライアンス(写真3[拡大表示]),DSL(ディジタル加入者回線)モデムを公開した。今年3月には「InBusinessスモール・オフィス・ネットワーク」シリーズを発表した。小規模の企業向けにインターネットや他のネットワーク機能を管理する製品である。

写真3 インテル・ブランドの消費者向きインターネット・アプライアンス
 大企業やネットワーク・サービス会社向けのアプライアンスとしては,今回のIDFで「ネットストラクチャ」ブランドを発表した。同シリーズは,ネットワーク・キャッシュや暗号アクセラレータ,ネットワーク・トラフィック管理装置,スイッチなどから成る(既存製品も含む)。これで消費者向けから大企業向けまで,インターネット・アプライアンスが揃った。

 インターネット関連サービスにも積極的だ。例えば,今年1月にはアプリケーション・ホスティングのための「インテル・オンライン・サービス」を開始した。

(フィリップ・キーズ=keys@nikkeibp.co.jp)