インターネットの住所であるドメイン名を多国語対応にする動きが活発になっている。2001年3月までに,.comや.jpドメインで日本語のドメイン名を登録できるようになる。メール・アドレスやホスト名へ割り振っての運用までには時間がかかりそうだが,ニーズの高いWebアクセスでは,いち早く利用が可能になる見込みだ。今後,一種のブランドとして日本語ドメイン名が広がっていく可能性が高い。

斉藤 国博=kuni@nikkeibp.co.jp)

 インターネットのドメイン名に日本語を使えるようにする動きが活発になっている。この10月から一部ドメインで日本語名の登録サービスが始まった。今後は.comや.jpドメインでも日本語を利用できるようになる。2001年は日本語のドメイン名が新しいブランドとして認知される年になりそうだ。

 ただし,日本語のドメイン名は当面,英数字のURL(ユニフォーム・リソース・ロケータ)をもつ既存のWebサイトへの橋渡しとして使われることになろう。実際にホストに割り振ったり電子メール・アドレスに利用するには対応すべき問題が残っているからである(後述)。

2001年には.jpで日本語が使える

 メディアウォール・ドット・シーシー(本社・東京,http://www.nweb.cc/)は10月10日,.ccドメインを対象に,日本語を含む複数言語でドメイン名を登録できるサービスを開始した。例えば,「日経BP社.cc」といったドメイン名が利用可能になる。

 .ccというのはオーストラリア領ココス島の国別ドメインで,米eNIC(http://www.enic.cc/)が管理している。メディアウォールはeNICの総販売代理店として,日本および韓国で.ccドメインの登録サービスを提供する。同サービスには開始初日ですでに約1000件の登録申請があったという。

 .comや.orgなどの汎用ドメインを管理する米ネットワーク・ソリューションズ(NSI)も10月3日,多国語ドメイン名の登録を10月中に開始すると発表した。これで「会社名.com」といったドメイン名が可能になる。

 日本の国別ドメインである.jpドメインでも,日本語名の登録サービスが始まる。.jpドメインを管理する日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC,http://www.nic.ad.jp/)は10月10日,「汎用JPドメイン名導入に関する方針」を発表,これまで組織属性(.coや.ac)や都道府県名を割り振っていた第2レベル・ドメインに,2001年1月から企業や個人などの一般名を日本語などで登録できるようにすることを明らかにした。1組織が1ドメインしか取得できないという制限も設けない。

 JPNICは,2001年1月23日から1カ月間,既存の.jpドメイン名保持者や商標保持者からの登録を優先的に受け付ける。2001年3月1日には一般の登録受付を開始する。ただし,既存の属性型ドメインや地域型ドメインは従来通りに運用を続ける。

既存サービスも共存していく

 日本語を使ってWebサイトにアクセスするサービスは,すでにあった。インターネットワン(本社・東京)が99年11月にサービスを開始した「日本語ドメインインデックス」や,リアルネームズジャパン(本社・東京)の「インターネットキーワード」である。

 これらに共通するのは,覚えやすい日本語を使って,既存Webサイトにアクセスできるようにすること。それでは,日本語のドメイン名が登場すればこうした既存サービスは不要かというと,そうとも限らない。これらのサービスは「住所」の日本語表記サービスであると同時に「花」や「レストラン」といった一般名詞での検索サービスとしての性格も併せ持っている。同名の企業が複数あるときにも同じ名前で探すことができる。日本語ドメインの代用品ではなく,正式なドメイン名でないこと自体を生かしたサービスとして今後も利用されていくだろう。

プロキシやメールで問題発生も

 日本語を用いたドメイン名自体も,当面は既存のWebサイトへの橋渡しとして使われることになりそうだ。日本語のドメイン名を各種ソフトウエアで利用するにはそのソフトを多言語ドメイン対応にする必要があるが,この実現に時間がかかりそうなのである。

図1 プロキシなどに残る不具合
(a)ほとんどのDNSサーバーは,日本語のドメイン名を解決することができる。(b)一部のプロキシ・サーバーなどは日本語を含むURL(ユニフォーム・リソース・ロケータ)を受け取ると,DNSサーバーに問い合わせることをせずに,不正なURLとしてエラーを返してしまう。
 既存のサービスですでに問題が指摘されている。たとえば,一部のプロキシを経由してインターネットワンのインデックス・サービスにアクセスしようとすると,URLが不正であるとしてアクセスできないことがある。多言語の文字列に含まれる8ビット・データにこのプロキシが対応していないためである(図1[拡大表示])。問題を回避するにはブラウザ側であらかじめ8ビットのURLを一定の規則で7ビットの文字列に変換する必要がある。具体的にはブラウザにプラグインを導入する。

 電子メールについても,現状ではメール配送システムがドメイン名を理解できずに正しく送られなかったり,送られた場合でもアドレス部分が化けるなどの不具合が起こりやすい。いずれ,多言語ドメイン名に対応したAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)をOSに組み込むなどの必要も出てくるだろう。現在,IETF(インターネット・エンジニアリング・タスク・フォース)がそのための標準化を進めている。策定が終わるのは2001年6月ころになる見込みである。

 NSIやJPNICのサービスが当初,試験サービスとして提供されるのはこの標準化が済んでいないためである。処理自体は簡単なデータ変換なので,製品の種類があまり多くなく,ニーズも高いと考えられるWebブラウザは比較的短期間で対応しそうだ。しかし,メール・ソフトにはさまざまな種類があり,実用に耐えるまで対応が進むには時間がかかると見られる。