Webブラウザの選択肢が増える。ノルウェーのオペラ・ソフトウエアの「Opera6.0 for Windows」(日本語版)や,オープン・ソースの「Mozilla」の正式リリースが間近である。事実上,「Internet Explorer」,または「Netscape」しかなかったブラウザに,新たな選択肢が加わる。一方で,業務向けのブラウザも登場している。アクシスソフトウェアの「Biz/Browser」である。キャッシュ機能を強化し,応答を高速化する。

(福田 崇男=tafukuda@nikkeibp.co.jp)

写真1●「Opera 6.0 for Windows」はマルチウインドウでWebページを表示
米ネットスケープ・コミュニケーションズが設立した,オープン・ソースのWebブラウザ「Mozilla」の開発やソース・コードの管理をするための組織。米ネットスケープのメンバーが中心になって活動している。
写真2●OperaはWebページを拡大/縮小できる
右上のプルダウン・メニューで,ウインドウごとに倍率を指定する。
表1●Operaの「マスウジェスチャー」機能で可能な主な操作
ボタンの左右は,右利きの設定の場合。左利きの設定では左右逆になる。
写真3●「Mozilla」はオープン・ソース
無償で配布されている日本語化パッチをあてるとメニューを日本語で表示できる。
図1●Biz/Browserは静的なコンテンツをローカルにキャッシュ
JavaScriptに近いCRSと呼ばれるスクリプトで静的コンテンツを表示する。2回目以降のアクセスでは,動的に生成するデータのみをサーバーから取得するので,表示が速い。

 ノルウェーのオペラ・ソフトウエアが,ようやくブラウザ「Opera」の日本語版を出荷する。1月下旬に「Opera6.0 for Windows」の日本語版をリリースする予定である。以前からOperaは,動きが軽く使い勝手がよいため,評価が高かった。しかし,英語をはじめ,いくつもの言語に対応するものの,日本語版は提供されなかった。

 これまではWebブラウザといえば,実質的に,米マイクロソフトの「Internet Explorer(IE)」か,米ネットスケープ・コミュニケーションズの「Netscape6」しかなかった。もはや,ブラウザの選択に,時間を費やすユーザーはほとんどいないという状況になっていた。Operaがこの状況に一石を投じる。

 また,米Mozilla Organizationが開発しているオープン・ソースのWebブラウザ「Mozilla」も正式リリースが間近である。

 一方で,業務アプリケーション向けのブラウザも登場している。アクシスソフトウェアの「Biz/Browser Ver3.0」である。キャッシュ機能を強化し,応答を高速化する。

自由度が高いOpera

 「Opera6.0 for Windows」は有料のソフトウエアである。価格は39ドル。無料でも使用できるが,そのときには右上に常時バナー広告が表示される。オペラ・ソフトウエアのWebサイトで39ドルを支払うと,レジスト・コードがもらえる。このコードをブラウザに入力するとバナーが消える仕組みである。日本語版のリリース予定は1月下旬であるが,すでに日本語化キットがフリーで公開されている。これを利用すれば,メニューなどが日本語になる。

 Operaは自由度が高い。ユーザーの好みによって,さまざまなインタフェースでWebアクセスが可能である。

 まず,Operaのウインドウ内で複数のWebページを表示するMDI(多重ドキュメント・インタフェース)か(写真1[拡大表示]),Webページを個別のウインドウで表示するSDI(単一ドキュメント・インタフェース)を選べる。起動時にMDIとSDIどちらでウインドウを表示するかを選択する。

 Webページを拡大/縮小して表示する機能を備える。文字を拡大/縮小するだけではなく,画像やWebページ全体を拡大/縮小して表示する。Webページを表示するウインドウの右上にプルダウン・メニューがあり,表示倍率を変更できる(写真2[拡大表示])。マウスのホイールでも拡大/縮小が可能である。

 マウスを使ってブラウザを操作する「マウスジェスチャー」と呼ばれる機能もある(表1[拡大表示])。たとえば,マウスを右クリックしながら左へ動かせば「戻る」,右に動かせば「進む」でページを移動できる。覚えれば,操作性が向上する機能である。

 入力の手間を軽減する機能も備える。ECサイトやポータル・サイトなどでは,氏名や住所,電話番号などの個人情報を登録する場合が多い。Operaでは,あらかじめブラウザの設定に個人情報を登録しておけば,マウスの操作だけでフォームを埋められる。

 Webページの表示に関しては,IEやNetscapeとそん色ない。W3C(World Wide Webコンソーシアム)が規定している標準技術に対応している。HTML4.0はもちろん,XHTML(拡張可能HTML)やCSS(カスケーディング・スタイルシート)などを表示できる。通信ではSSL (セキュア・ソケット・レイヤー)も使える。メーラーやニュース・クライアントも備えている。

 Javaベースのアプリケーションであるため,サポートするOSも多い。Windows以外に,MacOS,Linux,Solaris,OS/2,BeOS,QNX,Symbian OSで動作する。

 ただし,特殊なコンテンツを再生するためのプラグインは,IEより少ない。Operaのプラグインは,NetscapeのプラグインAPIを使用しており,基本的にNetscape対応のプラグインしか使えない。ActiveXなどを使うIE向けプラグインは利用できない。それでもマクロメディアのFlashやアップルコンピュータのQuickTimeなどのコンテンツはOperaで再生可能である。

 ネットスケープ・コミュニケーションズが中心になって開発している「Mozilla」も正式版が間近である(写真3[拡大表示])。2001年10月に,Mozilla Organizationが運営する「Mozilla.org」で,6カ月以内に正式版1.0をリリースする予定であることを明らかにしている。W3Cの標準技術技術を積極的に取り入れているオープン・ソースのソフトウエアである。ソース・コードも配布されており,「Netscape6」のようにMozillaをベースにしたWebブラウザも増えてきている。

業務システム向けWebブラウザも

 アクシスソフトウェアのBiz/Browser Ver3.0は,企業が業務でWebアプリケーションを利用することを想定したブラウザである。クライアント・マシン上のキャッシュを活用して,応答を高速化する仕組みを備えている。「業務系のWebアプリケーションでは,Webページのフォームはほぼ固定されている。アクセスのたびに変わる動的な部分は一部分である場合が多い」(アクシスソフトウェア マーケティング企画室長の山形 浩一氏)のである。つまり,Webページの大部分をキャッシュに保存し,動的な部分のみをやりとりするようにすれば,高速処理が可能になる。

 HTMLのMETAタグを使えば,キャッシュの可否やキャッシュする期間を指定できる。しかし,それは,あくまでもファイル単位である。Biz/Browserならば,表の項目名はキャッシュし,データ部分のみダウンロードするということが可能である。

 Biz/Designerと呼ばれるツールでWebページを作成する。それをCRS(Chain Reflection Script)と呼ばれるJavaScriptベースのスクリプト言語のファイルに変換し,Webサーバー上に配置する。

 エンドユーザーはBiz/Browserを使って,一般のブラウザと同じように,Webサーバーにアクセスできる(図1[拡大表示])。最初のアクセス時は,CRSファイルをダウンロードしてコンパイルする。さらに動的部分もサーバーからダウンロードする。2回目以降は動的部分だけをダウンロードするので,高速に表示できる。